陽子、佐々木監督の前でアピール弾

 「なでしこL、浦和2-3INAC神戸」(4日、浦和駒場)

 前節、2年連続優勝を決めたINAC神戸のMF田中陽子(19)が4日、浦和戦でリーグ戦初先発。続投を発表した女子日本代表「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督(54)が視察した試合で今季2得点目となる先制ゴールを決め、勝利に貢献した。U‐20女子W杯で存在感を示した田中陽の活躍でチームは無敗をキープ。リーグ史上初となる2年連続無敗優勝に“王手”をかけた。

 鼻をすすりながらピッチに立った陽子が、ノリさんの視線を独り占めにした。0‐0の前半30分。MF沢から縦パスを受けた田中陽は、MF川澄とのパス交換から右足を振り抜いた。ペナルティーエリアのわずか外。インステップの芯ではじいた弾道は、変化を交えながら豪快にネットを揺らし、均衡を破った。

 「力強いブレるシュートなら入ると思ったので、コースより芯に当てることを意識して思い切り蹴った。得意なミドルゾーンだったので、決められて良かった」

 リーグ戦初先発にして、この判断。この落ち着き。この決定力。8月のU‐20女子W杯で大会6ゴールを決めた19歳は、ただ者ではなかった。トラップの際に軸足を「迷った」と言うものの、しっかりと枠をとらえ、W杯で共に世界3位を勝ち取ったヤングなでしこ正GKの池田が伸ばした指先を蹴散らした。

 この日は1日に続投が決まったばかりの「なでしこジャパン」佐々木監督が来場。貴賓席から15年カナダW杯、16年リオデジャネイロ五輪の新戦力を発掘するべく、逸材に目を光らせていた。

 「(佐々木監督の視察は)知らなかった。点を取ることは一番大切な仕事。来られている日にゴールできたことは良かった。同世代の選手には絶対負けたくない。カテゴリーの代表はもう終わったので、そこ(フル代表)は狙っていきたい」

 浦和の先発には、ヤングなでしこで主将を務めたMF猶本やW杯でシルバーボール賞獲得のMF柴田ら次代を担う新星が名を連ねたが、田中陽の非凡な才能がライバルを凌駕(りょうが)した。

 佐々木監督は「(ゴールは)そんなに大きな評価じゃない。察知能力とか予測を磨いていかないと。まだまだ単純なミスがあった」と辛口だったが、それも期待の裏返しだろう。田中陽は風邪気味で体調は万全ではなかったが、「戦術的な部分では貢献できなかった」と代表指揮官の評価を受けとめた。ブレークの夏が去っても、陽子のシンデレラストーリーには続きがある。

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