沢、涙のち金宣言!決勝は米

 「ロンドン五輪・サッカー女子・準決勝、日本2-1フランス」(6日、ウェンブリー競技場)

 歴史の扉をこじ開けた。サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)は6日に、準決勝でフランスを2‐1で下し、女子サッカー史上初のメダルを確定させた。試合終盤にフランスの猛攻を浴びたが、GK福元美穂(28)=岡山湯郷=が神懸かったセーブを連発。9日の決勝は、昨年のドイツW杯と同じ宿命のライバル・米国に決定。大黒柱MF沢穂希(32)=INAC神戸=は「ここまで来たら一番良い色のメダルを」と金メダル獲得を宣言した。

 幾万もの日の丸が、サッカーの聖地に掲げられた。大歓声の中、MF沢は涙した。「最後は気持ちだった。4年前、メダルを取れない悔しさを知っていたから。みんなの笑顔を見たら涙ぐんじゃいました」。メダルを確定させた喜びが、形を変えて両頬を伝った。

 守り抜いて歴史の扉を開いた一戦だった。2点をリードした後半21分には相手MFネシブのシュートをGK福元が左手一本でこん身のセーブ。1点差だった同35分にはPKの絶体絶命も、運が味方した。「何度見ても時計が進まなかった」(沢)という4分間のロスタイム。終了の瞬間には、守護神を中心に歓喜の輪ができた。「みんなが(福元のところに)集まっていったことが、物語っているでしょ」とDF岩清水。佐々木監督も「小さな福元選手が神様に見えた」と語る一方で、福元自身は「神様?いやいや全然。守り切れて良かった」と控えめだったが、聖地のピッチはヒロインが誰か知っていた。

 メダルへの執念だけではなかった。試合前のミーティングで指揮官は、北京五輪の準々決勝・中国戦(2‐0)や昨年のドイツW杯といった接戦を制してきた映像の他にも、昨年3月11日に起きた東日本大震災の映像を選手に見せた。なでしこの歴史、日本の悲しみ、自分たちができること‐。さまざまな思いは、勝利というただ一つの帰結に向かって収束した。「今までやってきた先輩とか、ここに立てなかったなでしこの仲間とか、日本で遅くまで応援してくれる子供たちのためにも頑張れたかなと思う」と沢。どんな死闘であっても、勝利は必然だった。

 日本女子サッカー史上初のメダルを確定させ、決勝で対峙(たいじ)するのは、宿命のライバル・米国。くしくも死闘を演じた昨年のW杯と同じカードとなった。沢は言う。「もう一試合、みんなで力を合わせて戦おうと、試合後に話をした。一分一秒でも長く、このドキドキ感を楽しみたい。人間、欲があるものでここまで来たら一番良い色のメダルが欲しい」。“金”が欲しい‐。沢の意志は、何よりも固い。手を伸ばせば届きそうな栄光を、つかみとって集大成の大会のエンディングを飾る。

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