興毅V7!3兄弟同時王者へ先陣切った

 「デイリー後援・WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(23日、東京ビッグサイト)

 ボクシングの亀田3兄弟の長男でWBA世界バンタム級の王者・亀田興毅(26)=亀田=は同級3位ジョン・マーク・アポリナリオ(23)=フィリピン=を3‐0の判定で下し、7度目の防衛に成功。興毅は4試合ぶりのダウンを2度奪うなど、最大12ポイント差をつける完勝だった。WBA女子世界ミニマム級の王者・多田悦子(32)=フュチュール=が同級1位アナベル・オルティス(26)=メキシコ=に1‐2の判定で敗れ、10度目の防衛に失敗した。

 “新生興毅”のデビュー星だ。V7を決めた興毅は「いいとこ、悪いとこあったけど、前回よりは進歩したと思う」と、ニッコリ。一度は「進退をかける」と話し、「デビュー戦」と位置づけた試合で、4試合ぶりのKOはならなかったものの大差判定勝ち。「スタートラインに立った感じ」と、喜びをかみしめた。

 距離を取って攻めるアポリナリオに開始からプレッシャーをかけ、何度もキレのいい連打を浴びせた。10回には右フック、12回には左ストレートで4試合ぶりのダウンを奪った試合運びを「いろいろ試したかったから、KOは狙ってなかった。カウンターでダウンを取れたのは自信になるね」と、満足げに振り返った。

 前回(4月)の防衛戦は2‐1判定の辛勝。リング上で土下座をしてファンに謝罪し、悔し涙まで流した。その後の数日間は「今年で27歳。年も年やし、こんな状態じゃあかん、やめた方がええと思った」と悩み続けた。だが、4月末に四国のイベントで知り合った15歳の少年が闘魂に火を付けた。

 「不良やったけど、オレのファンになったのがきっかけで、まじめになってボクシングを始めた子。オレと会ったときは全然しゃべられへんぐらい緊張してた。それを見て、オレも少なからず夢と希望を与える立場なんや、もっとやらなアカンというスイッチが入った」と、目が覚めた。

 そこから「ボクシングを始めてから、こんなに練習したことはない」と、初心に戻って肉体改造に着手し、結果を出した。「前の試合の状態では負けてたと思う。ちょっとずつ変わってる段階」と進化に手応えを感じているが、「理想のボクシングにはまだまだ」と、気持ちは緩めない。

 8月の三男・和毅、9月の次男・大毅と続く、世界初の3兄弟同時世界王者獲りへの第一関門を突破。長男が責任を果たして弟にバトンをつないだ。そして、自身の次なる目標は「早く4階級制覇をしたい」だ。

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