「盗まれた」王座剥奪の前王者・堤聖也、異例ベルト持参で会見騒然「チャンピオン堤聖也です」11・29現王者・増田陸と3年ぶり再戦
ボクシングの帝拳ジムは14日、都内で記者会見を開き、11月29日に両国国技館でトリプル世界戦興行を開催することを発表した。WBA世界バンタム級タイトルマッチは、7月20日に初戴冠した王者・増田陸(29)=帝拳=が、前王者で同級1位の堤聖也(30)=角海老宝石=の挑戦を受ける。両者は23年8月30日の日本同級タイトルマッチで対戦し王者・堤が判定勝ちしており、3年3カ月ぶりの再戦。また、堤は負傷による休養王者扱いから王座剥奪という憂き目に遭って11カ月ぶりの復帰戦となるが、会見の壇上で持参したベルトを突然取り出し「こんにちは。WBA世界バンタム級チャンピオオン、堤聖也です」と“王者”であることを誇示して騒然とさせた。
形式上はタイトルマッチとなるが、真の王者を決める“団体内統一戦”の様相を呈してきた。英国ルイスレザーの赤いライダースジャケットという“正装”で登壇した堤は、持参したバッグから突然WBAのベルトを取りだし、テーブル上に2つのベルトが並ぶ異例の展開となった。さらに、会見後の写真撮影の際も、増田にはスタッフからベルトが渡されたが、手持ち無沙汰となった堤は自らベルトを取りに行き、2人の“王者”が並ぶような形でポーズを取った。
堤は24年10月に王者・井上拓真(大橋)に勝って王座を奪取し、25年2月に比嘉大吾(志成)と激闘ドローで初防衛。同年12月にノニト・ドネア(フィリピン)との死闘を制して2度目の防衛に成功したが、鼻骨骨折のダメージを負った。実戦から遠ざかる中、5月末にはWBAから休養王者扱いとなり、さらに7月にはそれも剥奪され、7月20日の王座決定戦を制した増田が新王者に輝いていた。
堤は自分のベルトを持参した真意について「僕だけは(一連の扱いを)認めたらダメかなと。納得してはダメ。表面上、肩書きや見てくれは変わっても、本質的なものは何も変わってない」と説明し、「最初から(持参するつもりだった)。持ってこようとかじゃなくて、必要なものなので。(奪われたベルト?)奪われるのは、勝負したときに使うもの。『盗まれた』が正しいかな。(この試合は)僕の防衛戦」と強調した。
ドネア戦で負った鼻骨骨折からの回復が長引いたものの7月頃からは練習を再開し、一部で情報が流れた目の負傷などは一切ないと改めて説明。「選手間で(因縁が)あるわけじゃないし、僕がけがでできなくてマッチメイクの都合上こうなった。選手も悪くないし、プロモーターも(興行のために)動かないといけないので仕方ないが、僕個人の考えだけでいくと、けがで試合ができないだけで、これくらいの期間(1年以内)は全然あるだろうと。その中での剥奪なので、表面上の変化だけで(自分が王者だという)中身は動いていない。ずっとそういう感情。防衛戦の感覚だが、ルール上は僕は挑戦者で向こうは王者と頭に入れて戦わないと」と、理不尽な扱いに対する憤りを押し殺しながら自身のスタンスを述べた。
一方、増田は初防衛戦となるが、「世界王者になって背負うものが増えた。(堤戦は)非常に楽しみでワクワクしている。必ず勝って、真のチャンピオンシップを証明したい」と意気込んだ。前王者がベルトを持参したことについては「持って来てるんだと。そんなことしなくてもいいのになとは思いましたけど、盛り上がるなら、やってもいいのかなと」と明かした。
また、プロ唯一の黒星を喫している堤との再戦が決まり、「非常にタフな選手。久しぶりに目の前にして感じた印象は、少し“くたびれた”かなと思っています」と率直に語った。少しムッとした表情で聞いていた堤は「くたびれるでしょう。我が身になって考えてみてくださいよ。くたびれますよ」と返した。
