ガッツ石松さん逝く 「スピちゃん」に認められたケン・ブキャナンとの激闘が誇り 「バナナ?あれはパフォーマンスだから」【悼む】
ボクシングのライト級で日本人初の世界王者になり、現役引退後はタレント・俳優としても幅広く活躍したガッツ石松(本名鈴木有二=すずき・ゆうじ)さんが2日、肺炎のため東京都内の病院で死去した。11日に所属事務所が発表した。76歳。栃木県出身。葬儀・告別式は近親者で執り行った。
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2年前の12月、ガッツさんにインタビューする機会があった。現役世界王者として俳優デビューした映画「極悪拳法」(74年)が映画館で上映されることを踏まえての取材だった。「ラッキーセブンの3」「右に左折」「黙ってしゃべれ!」…。そんなガッツ語録が都市伝説化していたが、実際の本人はいたってクールに物事を見ていた。
ガッツさんといえば「バナナ」というイメージがある。「暴飲暴食はしない」という健康法に対して「バナナで栄養補給を?」と聞くと、「バナナ?そんな、しょっちゅう食べているわけじゃないよ。あれはパフォーマンスだから」と返され、目からうろこが落ちた。
米ハリウッド映画デビュー作「太陽の帝国」(87年)のスティーブン・スピルバーグ監督を「スピちゃん」と呼んだ。「スピちゃんは俺が英国の名王者と闘ったことを知っているわけね。だから、俺のこと、認めてくれてたんだよね」。ケン・ブキャナンを最強挑戦者として迎え撃った3度目防衛戦(75年)。WBCの月間MVPに選出された激闘を誇りにしていた。
2本目のハリウッド映画「ブラック・レイン」(89年)では憧れの高倉健さんと共演。「うれしかったね。いっぱしの人というのは、あまり、余計なことはしゃべらない。だから、『OK牧場』とか、今の俺はあんまり言わなくなったね」。その日の会話で、あの国民的な決めゼリフを私に発することはなかった。
当時75歳。「若い時はイケイケドンドンで何でもやったけど、今はガッツ、ガッツしないで、ゴーイング・マイウェイだよな」。老いの境地をダジャレで締めた。そして一夜明け、ガッツさんに電話した。出演作の感想を聞くと「恥ずかしくない演技だったよ。OK牧場!」と封印していたフレーズが飛び出した。(デイリースポーツ編集委員・北村泰介)
