【新日本】デヴィット・ボウイからヒント?37歳変幻自在レスラーYOH、悲願初タイトルに王手「優勝して“100代に1人の逸材”に」BOSJ決勝で23歳藤田晃生と再び激突【インタビュー】
新日本プロレスのジュニアの祭典「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア33」は7日の大田区総合体育館大会で決勝戦が行われる。5日の準決勝では前回覇者の藤田晃生(23)、同準優勝のYOH(37)が勝ち上がり、2年連続で同じ顔合わせでの頂上決戦が決定。変幻自在のファイトで沸かせているYOHはシリーズ開幕前にデイリースポーツのインタビューに応じ、デビュー14年で自身初のシングルのビッグタイトルを手にした上で、第100代IWGPジュニアヘビー級王者に輝くという2026年の皮算用を明かした。(取材・構成=藤川資野)
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-4・2後楽園ホール大会でIWGPジュニア王座に自身6度目の挑戦も、王者DOUKI選手に惜しくも敗れた。
「今回シチュエーション的にも、俺が取るべきタイミングだったと思うんですよ。詰めの甘さで取れないっていう、俺っぽいなってのもあるんですけど、ファンの方の期待を裏切ってしまって、複雑ですね。まだダメかと」
-3・6旗揚げ記念日大会のメイン後に挑戦を表明し、ファンの待望論、期待感も高かった。
「お客さん含め、自分でも盛り上げられたかなってとこだったので(悔しい)。今回はコンディションも超良くて。何も問題なかったんですけど、最終的に向こうのペースにのまれてしまった。結構きついっすけど、切り替えの早さは社長(棚橋弘至)譲りなので(笑)。もう好奇心は(ベスト・オブ・ザ・)スーパージュニアに向いてます」
-シングルではタイトルが遠い。IWGPジュニアもそうだし、BOSJも2度準優勝しながら優勝はない。
「そうっすね。去年も藤田(晃生)君に最年少優勝を許して、(快挙の)手助けをしてしまったみたいなのもあるんですけど、でもあの(決勝の)試合をきっかけに、お客さんの見る目が変わってくれたのかなみたいなところはあって。その後はどの会場に行ってもグルーヴをつくりやすくなったというか、一緒に盛り上がれるようになってきたかな、というのはあるんですよね。毎年言ってますけど、今年はマジで俺が行かないとダメだろって思ってますから(笑)」
-「BOSJ」というタイトルについてはどう考えている。
「今の新日本ジュニアを象徴する選手というか、1年の顔を決める大会。あと、IWGPジュニア(王者)は今DOUKIさんが第99代チャンピオンで、(4・2で)取っていたら100代目になれた。『100代に1人の逸材』っていうのが生まれるので、タイミング的にも全部俺がこれを持っていけると。今年(BOSJで)優勝して、ベルトまでいくっていう目標は変わってないです」
-キャリア14年でシングル初タイトルを狙う。
「芸人さんとかでも10年やって一人前とか、やっと1つの芸の形ができてくるって話を聞いたことがあって。それをすげえ味わってるんですよ。今シングルプレーヤーになってから5年くらいですけど、トータル14年やって、ようやく一つ俺の形が見えてきたなっていうところで、すげえプロレスが楽しくなってきて。(コンビで目立たない)“じゃない方芸人”の方が後で伸びたりすることもあるじゃないですか。同業者からは『こいつすごいな』と思われてるけど、開花するまでに時間かかるというか。俺はそういうタイプなんだなと思い込むようにしています(笑)」
-“じゃない方”という意味では、元タッグパートナーのSHOについて思うことは。
「SHO君とは同期だし、運命はやっぱりね、あるんですよ。今後“SHO-YOH”をブランドとして、新日本ジュニア、新日本を引っ張っていかないとって思いはありますね。オカダ-内藤、デスペラード-高橋ヒロムがあったように。この試合はすげえってお客さんに思わせたいですね」
-SHO選手も極悪軍団「ハウス・オブ・トーチャー」に加入して4~5年。どう見ている。
「同業者として見ると、めっちゃいいレスラーだなと思うんですよ。ただ、たぶん僕もそうなんですけど、シングルプレーヤーになってから自分を解放できたみたいなところがあって、(タッグ時代は)異物と異物がタッグを組んじゃってたので、どこかギクシャクしたとこもあるんですよね。で、今はお互い本音でプロレスしてるから。彼は面白いなと思いますよ。唯一無二というか。確固たるものを手に入れてるなっていうのは感じますね」
-袂を分かったから今だからこそ理解できる。
「やっぱりね、解散してからが本当にタッグになるんじゃないかなと思ってるんですよ。向こうはどう思ってるかわかんないですけど、ライバルストーリーが膨らんで膨らんで、SHO君のタイトルに挑んだ時も当日に肩を脱臼したっていうのもあるし、あれをもっとデカいところでまたやりたいな。ドームとかまで持っていかなきゃいけないなっていうのは、やっぱ意識としてあるんですよ」
-新日本ジュニアでいうと、高橋ヒロム選手の退団は大きなトピックだが、チャンスと見るかピンチと見るか。
「プロレスに限らず、誰かが抜けたら、そのポジションに誰かが入ってくる。BOSJで、今後の顔は誰なんだというのはあるでしょうね。ただ、ヒロムさんが辞めたことに関しては何もネガティブな感情はなく、むしろ次のステップに挑戦するっていうのがすげえかっこいいなと思ってます。EVIL(現NARAKU)さんに関してもそうですけど」
-昨年決勝で自身が敗れ、史上最年少優勝を飾った藤田選手について。
「借りを返したいっていうのは当然あります。藤田が決勝まで上がってくれば、今度は2連覇が懸かるわけじゃないですか。ベテランとしては、そうはさせるかと」
-3年前はマスター・ワト選手、去年は藤田選手と、まだ20代の後輩が先に優勝したことに対するジェラシーや感情はどうか。
「焦りはないって言い切ってもいい。ここ数年、自分のスタイルをつくるのに夢中で。結局優勝しても、その先にお客さんを納得させるというか、こいつ面白いって思わせられるかどうかっていうのがプロとしての1つの勝負なので。僕はタッグをやってる時はその部分が足りなかったんですよ。タッグリーグで3連覇して、ベルトも4、5回取ってますけど、お客さんを納得させられたかって言ったら課題が残ったので。なので、シングルになってからはそれを頭の中に入れてやってます」
-なるほど。まずは自分との戦いだと。
「本当にそうですね。ただ、ちょっと矛盾なんですけど、あまりお客さんのことも考えてなくて。ただひたすら僕がおもしれえと思うことをやってるみたいな。それをお客さんが結果的に楽しんでくれているのなら、こっちとしてもめっちゃ最高だねっていうスタンスで今やってますね。今いい試合する人っていっぱいいるんですよ。でも、もうみんないい試合はできるので、突き抜けるには(どうするべきか)って、やっぱ考えますね。考えた結果、今のスタイルになってるっていう感じですね」
-映画や音楽からも着想を得ると以前インタビューで言っていた。
「そうですね。僕がヒントにしてるのが、デヴィッド・ボウイなんですけど、変幻自在のロックスターで、スタイルを変えていったというところを参考にしました。ちょうど(自分のスタイルを)模索してた時期だったので、『これだ』と思い、そこから自分のプレイスタイルをその時のシチュエーションだったり対戦相手によって変えていき、磨き続けました」
-スタイルは変わるけど、一貫したものもあると。
「一貫して継続してるのは、3つあるんですけど。『孤独を恐れるな』と『自由を愛すること』、あとは『やるときはとことん楽しむ』っていうことで、初期衝動を大事にしてます」
-デヴィッド・ボウイは元々好きだったのか。
「もちろん名前は元々知ってたんですけど、(本格的にハマったのは)レコードを掘るようになってからですね。映画でレオス・カラックス(フランスの映画監督)3部作ってのがあって、『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』『ポンヌフの恋人』。DVDも持ってますよ。それで(主演の)ドニ・ラヴァンがラジオを聞きながら、全力で走って踊るシーンがあって、この曲なんだろうと思ったら、デヴィッド・ボウイの『モダン・ラブ』で。そういうのもあって結構調べてた時期があったんですよ。で、この人の考え方かっこいいなと。それが気づきですね。結構ヒントって、いたるところに落ちてますけど、それを感じ取れるかどうかでだいぶ違うと思うんですよ」
-新日本としても棚橋選手が引退し、スター選手の退団も相次いだ。今の状況をどう捉えている。
「転換期だと思うんです。あくまで個人的にですけど、こっからは本当に“新日本プロレス一座”として一丸になって作り上げていかないと、同じ方向を向いてじゃないと、もっと面白いクリエイティブができないんじゃないかなっていうのはあります」
-それは危機感と捉えてもいいのか。
「まず僕がすげえなと思ったのが、新弟子とか、デビュー直後ぐらいの時期で。ちょうどオカダ(・カズチカ)さんが(海外武者修行から)帰ってきた年なんですよ。2012年入門なので。その時に親会社がブシロードに変わって、最初は先輩方も『これはどうなるんだろう』みたいな感じで、『でもやるしかないよな』って言って、みんなで同じ方向を向いて、進んでって、徐々にお客さんが増えて。後楽園ホール大会も毎回毎回(集客が増えて)規模感がどんどんデカくなってっていうのを、僕は一番下として見ていて、『これ、どこまで行くんだろう』っていうゾクゾク感がありました。さらにその上のゾクゾク感を味わうためにみんなで頑張っていきたいと思っています。だから、ウルフアロンとかにはすげえ期待してますよ(笑)」
-なるほど。今名前が出たウルフアロンについて思うことは。
「道場で練習を見たわけじゃないですけど、そもそもが五輪チャンピオンですからね。だからってプライドが高いわけでもなく、しっかり学んでるなと。コツコツと巡業に出て、一緒に(タッグを)組む時もありますけど。毎回ちょっとずつ間を修正したり、見せ方をちょっと変えてみたり、先輩方にも色々意見聞いたりしているので、真摯にプロレスと向き合ってますよね。酒も強いし、やっぱ五輪チャンピオンはモノが違うって(笑)2年後、3年後とか考えると、すげえ位置までいってると思いますよ。矢野(通)さんとか実力がある人たちと組んで、いろいろ学んで、近い将来楽しみです」
-黒のショートタイツというヤングライオンスタイルも。
「めっちゃくちゃいいです。あと僕が一個ウルフに言ったのが、髭モジャモジャの方がいいんじゃない?剃らない方がいいよって。胸毛とかも生えてるじゃないですか。本当にウルフっぽく、狼っぽく、野獣っぽい方がいいんじゃないかと」
-昔の外国人レスラーみたいに。
「そう。本当に強いやつって、そうじゃないですか。今はみんな結構見た目がキレイじゃないですか。だからこそ、そういう(野性的な)人がいると際立つというか。髭だけは伸ばした方がいいね、みたいな話はしたんですけど(笑)」
-ウルフアロン効果みたいなものを、例えば地方大会で感じることもあるか。
「あるっすね。地方に行くとわかるんですけど、やっぱ知名度って重要で。プロレスファンだったら知ってる選手でも、世間に出たら全く知らないんですよ。でも天山(広吉)さんとか、真壁(刀義)さんとか、棚橋さんって、みんな知ってるるじゃないですか。棚橋さんが引退されて、やっぱウルフアロンって名前は強いんですよ。どこの会場に行っても、ウルフが入場で出てきたら『ウルフ、ウルフ』ってひときわデカい歓声が飛んでるので。やっぱ逸材ですよね」
-世代交代も含めて団体が過渡期を迎えている中で、自身の役割として考えていることは。
「もう俺がおもしれえと思うことをやるだけで、そこはブレないですよ。今年はBOSJを優勝して、俺が(IWGPジュニア)100代チャンピオンになって、“100代に一人の逸材です”と名乗ります」(おわり)
