井上尚弥 メイウェザー超え史上最多世界戦27連勝 具志堅以来46年ぶり年間4度防衛の偉業も

 アラン・ピカソ(右)と対戦した井上尚弥(写真提供:ロイター/アフロ)
 世界スーパーバンタム級4団体王座防衛戦で、アラン・ピカソ(左)と対戦する井上尚弥(ゲッティ=共同)
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 「ボクシング・4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(27日、リヤド)

 4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(32)=大橋=が、挑戦者のWBC同級2位アラン・ピカソ(25)=メキシコ=を3-0の判定で撃破。4団体王座の同時防衛は6度目となり、自身が持つ史上最多記録を更新した。世界戦の連勝も「27」に伸ばし、伝説のヘビー級王者ジョー・ルイス、50戦全勝で世界5階級を制覇したフロイド・メイウェザー(ともに米国)を抜き、単独史上最多記録を樹立した。年間4度の防衛は79年の具志堅用高以来46年ぶり。

 モンスターが初上陸のサウジアラビアでも伝説をつくった。尚弥は魔法のような両拳でピカソを攻略。メイド・イン・ジャパンの最強王者は、歴代単独トップとなる世界戦27連勝という金字塔を打ち立てた。「新しく(最強の称号である)リング誌のベルトをもらえたが、今夜はよくなかったです。うーん。よくなかった。(パウンド・フォー・パウンド1位の)ウシク選手が見に来てくれているが、こんなんじゃ及ばない。1位にふさわしい選手になりたいです」。自身に求めるレベルが高いだけに反省を口にしながらも、現地ファンをうならせた。

 アラビアの夜を桜一色に染めた。桜をモチーフにヘアカラーを薄ピンクに染め、トランクス、シューズと淡いピンクをちりばめて戦った。1回は相手の出方を見ると、2回からは左右から上下にメリハリの効いた速射砲を浴びせ、“わびさび”の効いたパンチで相手を砕いた。ダウンこそ奪えなかったが、完封勝利で33戦無敗の若きメキシカンとのレベルの違いを見せつけた。

 今年は1月に金芸俊(韓国)に4回TKO勝ちしたのを皮切りに、5月には米ラスベガスでラモン・カルデナス(米国)に8回TKO勝ち。9月には名古屋で「キャリア最大の強敵」と位置づけた強打のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を12回にわたって完封して大差判定勝ちする離れ業をやってのけた。年間4試合という超ハイペースで戦歴を重ねたが、年齢的な衰えを全く感じさせない怪物ぶりを発揮し、さらに全盛期を更新する1年となった。「今年4試合こなすことができて満足はしているが、少し疲れました。ちょっとゆっくり休みます」と、いったん肩の荷を降ろした。

 来年5月に中谷潤人との東京ドーム決戦が計画されているが、前日にはフェザー級に転向しての5階級制覇に挑戦する可能性が浮上していることも明かした。「今夜(中谷と)お互いに無事勝利できたということで、来年いろんな方向性を含めて交渉していきたい。でも、日本のファンの皆さん、期待はしていてください」。開花の季節へと夢を膨らませた。

 ◇井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年4月10日、神奈川県座間市出身。相模原青陵高でアマチュア7冠。2012年10月プロデビュー。14年4月にWBC世界ライトフライ級、同年12月にWBO世界スーパーフライ級、18年5月にWBA世界バンタム級の王座を獲得。19年11月にワールド・ボクシング・スーパーシリーズで優勝し、22年12月にバンタム級で世界主要4団体王座を統一。23年7月にスーパーバンタム級2団体王者となり、4階級制覇。同年12月にスーパーバンタム級でも4団体の王座を統一した。身長165センチ、右ボクサーファイター。

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