謙虚で丁寧な姿勢、リング外でも隙ないモンスター井上尚弥 「悪い噂はバーッとすぐに広がる」大橋会長の“帝王学”受け継ぐ
「ボクシング・4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(14日、IGアリーナ)
モンスターがまた偉業を成し遂げた。世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(32)=大橋=がWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=に3-0で判定勝ちし、4団体の王座を防衛。ヘビー級で一時代を築いた米国のジョー・ルイス、世界5階級制覇を成し遂げた米国のフロイド・メイウェザーに並ぶ史上最多の世界戦26連勝を達成した。
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世界中のボクシングファンから注目を集めるスーパースターでありながら、決しておごり高ぶることはない。その姿勢は、所属する大橋ジムの大橋秀行会長(60)の「いい噂は少しずつしか広がっていかないが、悪い噂はバーッとすぐに広がる」という“帝王学”から受け継がれている。
尚弥は世界戦発表などの記者会見が行われる横浜市内のホテルから、ワンメーターの距離の大橋ジムまでタクシーで移動する際、「近くで大変申し訳ないんですが、おつりは結構なので、これでお願いします」と運転手にわびを入れて紙幣を手渡すという。支払いのスマートさもさることながら、モンスターの謙虚で丁寧な姿勢に感銘を受けるドライバーが続出。大橋会長がタクシーに乗る際も「井上選手は素晴らしいですね」と褒められることがあるという。
大橋会長自身、海外選手や陣営などから無理な要求をされることもあるが、自分の懐を痛めてでも容認するという。「(自国に)帰ってから悪い噂を流されるからね。自分がやってきたことを井上もマネしている」。リング外でも隙のない愛弟子に目を細めた。(デイリースポーツ・藤川資野)





