松本流星 笑顔なき新王者 会見第一声で謝罪し再戦熱望 偶然のバッティングに高田が出血し負傷判定で勝利
「ボクシング・WBA世界ミニマム級王座決定戦」(14日、IGアリーナ)
WBA世界ミニマム級王座決定戦で、同級2位の松本流星(27)=帝拳=が同級1位の高田勇仁(27)=ライオンズ=を5回1分26秒、3-0の負傷判定で下して新王者となった。5回に偶然のバッティングで高田の試合続行が不可能となり、採点で松本が王座をつかんだ。WBO世界バンタム級タイトルマッチで、王者の武居由樹(29)=大橋=は同級1位クリスチャン・メディナ(25)=メキシコ=に4回1分21秒、TKO負けを喫し、3度目の防衛に失敗した。武居は1回にダウンを許し、4回に連打を浴びたところで、レフェリーが試合を止めた。
後味の悪い結末に、松本は悲願の世界タイトルを手にしても笑顔はなかった。5回、鋭く前に踏み込んだところ、頭部が相手の顔面に激しく激突。転倒して顔から出血した高田は立ち上がれず、レフェリーが続行不可能と判断した。松本は担架で搬送される相手を案じ、リング上で手を合わせて一礼するだけだった。
同学年の高田との注目の決定戦は、序盤からスピードで圧倒。2回にはボディーからの右フックでぐらつかせる場面もあった。ただ、不完全燃焼の松本は試合後「今は高田選手と(相手陣営の)ライオンズの関係者に申し訳ない気持ち」と謝罪し、再戦を希望した。
8月には同門の浦川大将さん、親交の深かった神足茂利さん(M・T)が相次いでリング禍で亡くなる悲劇があった。特に仲が良く、ともに世界王座奪取を目指してきた神足さんの地元名古屋で、イニシャル「SK」をガウンとトランクスに刻み挑んだ。「はっきり勝って(世界王座戴冠を)報告したかったが、一つ形としてはあるので、そこは報告したい」。亡き恩人の魂とともに、世界王者として歩んでいく。





