井上尚弥 決戦目前に異例の友好的シーン アフマダリエフから民族衣装の贈り物に思わず笑顔 大一番へ「いつも以上の気持ちで」
「ボクシング・トリプル世界戦」(14日、IGアリーナ)
トリプル世界戦へ向けた会見が12日、名古屋市内で行われた。4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(32)=大橋=は、WBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=との大一番へ「どんな形でもしっかり勝つ」と臨戦態勢。一方、相手からはウズベキスタンの伝統民族衣装を贈呈される異例の友好的シーンもあった。WBO世界バンタム級王者の武居由樹(29)=大橋=は3度目の防衛に自信。WBA世界ミニマム級王座決定戦に臨む同級1位の高田勇仁(27)=ライオンズ、2位の松本流星(27)=帝拳=はそれぞれ闘志を燃やした。
全ての準備を終え、名古屋決戦に臨む。尚弥は精悍(せいかん)な顔つきで会見に出席し、キャリア最強の強敵と警戒するアフマダリエフと初対面。「すごく仕上がっているなという第一印象」と、あらためて気を引き締めた。
国内において関東圏以外で世界戦に臨むのは自身初で、既にチケットは完売し、Leminoでの配信や映画館でも放映されるなど注目が高まっている。「名古屋で試合ができるのは自分も初めてで楽しみ。期待をすごく感じる。自分もすごい思いで、いつも以上の気持ちで追い込んできた。しっかり目に焼きつけてほしい」とうなずいた。
燃えたぎる闘志をサングラスの下に隠した両雄だったが、会見後に思わず笑顔を交わす異例のシーンもあった。尚弥は相手との2ショット撮影を終えて退室しようとしていたが、再度呼ばれると、アフマダリエフが「贈り物がある」と持参した濃紺のウズベキスタンの伝統的民族衣装『チャパン』を手渡しでプレゼントされ、笑いながら羽織った。
さらに、井上真吾トレーナー、大橋秀行会長の分も用意されており、この時ばかりは頰を緩めて友好ムードで記念写真に納まった。大橋会長は「逆に怖い。自信を感じる。当初(尚弥に対し)挑発している感じだったが、意外。戦闘的な紳士。相手に不足はない」と、あらためて警戒を強めた。
尚弥は5月のラモン・カルデナス(米国)戦でプロ2度目のダウンを喫しているものの「なぜ起きてしまったのか、重々分かっている。過去2度のダウンをプラスに捉えて戦いたい」と平然。「(試合の)イメージはかなり高まっているが、ここで言えることはない。楽しみにしてください。パウンド・フォー・パウンド(階級を超えた最強ランキング)にふさわしい試合を見せたい」。言葉少なながらも殺気を漂わせた。





