ユーリ阿久井 岡山のジムから初の世界王者 無敗王者を完全攻略 歓喜「みんなでとったベルト」
「ボクシング・WBA世界フライ級タイトルマッチ」(23日、エディオンアリーナ大阪)
WBA世界フライ級1位で、世界初挑戦のユーリ阿久井政悟(28)=倉敷守安=が、22戦無敗だった王者のアルテム・ダラキアン(36)=ウクライナ=に3-0で判定勝ちし、新王者となった。岡山のジム所属で初の世界王者が誕生した。
ついにやった。満を持して世界王座にアタックしたユーリ阿久井が、無敗の王者ダラキアンを完全に攻略した。そして、岡山県内のジムから初の世界王座奪取の快挙を達成した。
試合前から考えた通りのプランを実行した。ガードを下げて足を使い、変則的なタイミングでパンチを打ってくるダラキアンのペースに戸惑わず、積極的に前に出てプレッシャーをかけていく。得意の右ストレートを封じられても、クリンチの合間に細かいパンチを当てた。
さらに8ラウンドにはコーナーに詰めて右を浴びせるなど、徐々にペースをつかんでいく。動き回る王者を最後まで追い詰め、3人のジャッジは文句なしでユーリを支持。最大で10ポイント差をつける3-0の判定勝利で悲願の世界タイトルをつかんだ。
「ジムの会長、みんなが欲しかったベルトなので、みんなでとったベルトだと思います」と勝利の喜びをかみしめる。試合後には守安竜也会長に真っ先にチャンピオンベルトを巻いてもらった。「そして、支えてくれた家族に感謝したい」と、リングサイドから声援を送り続けた妻と2人の子どもに感謝の気持ちを表した。
これからは王者として追われる立場になる。「勝ってホッとしている。防衛回数とかは意識していないけど、もっと強くなりたい」と新王者は今後を見据えた。
◆ユーリ阿久井政悟(ゆーり・あくい・せいご) 本名・阿久井政悟。1995年9月3日、岡山県倉敷市出身。元プロボクサーの父の影響を受けてボクシングを始め、倉敷翠松高から環太平洋大に進学。地元の倉敷守安ジムに入り、14年4月プロデビュー。15年12月にライトフライ級で全日本新人王に輝いた。19年10月に日本フライ級王座決定戦を制してタイトル獲得。3度の防衛に成功した後、23年1月に同王座を返上した。リングネームのユーリは1990年代に活躍した同じフライ級の名世界王者、勇利アルバチャコフに由来する。163センチ、右ボクサーファイター。