井岡一翔 大麻成分検出もゴングは予定通り JBC「隠ぺい疑われたくない」異例の試合直前発表
「ボクシング・WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(24日、大田区総合体育館)
日本ボクシングコミッション(JBC)は22日、世界元4階級制覇王者で前WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(34)=志成=から、昨年12月31日の世界戦でのドーピング検査で禁止物質の大麻成分が検出された件について説明を行った。21日に発表し、井岡陣営は反論していた。世界反ドーピング機関(WADA)の基準値を下回っているため今回の世界戦は予定通り行われる方向。JBCの安河内剛事務局長は、世界戦直前の発表について「隠ぺい体質だと疑われたくなかった」と説明した。
フランコとのダイレクトリマッチを前に、井岡陣営に激震が走った。JBCは21日深夜、昨年大みそかのフランコと引き分けたスーパーフライ級王座統一戦の際、井岡の尿検体から禁止物質の大麻成分、THC-COOHが検出されたと発表した。
ただ、WADAの基準とする濃度を超えるものではなかったことから、24日の世界戦は予定どおり行う見通しを示した。JBCルール第97条には違反の明確な基準が示されておらず、今回はWADAの基準値を参考に違反に当たらないとの判断を示した。
この日、報道陣に応対した安河内剛事務局長は、世界戦直前の発表について「興行後に(発表)すると、フランコ陣営も『何で知っていたのに、教えなかった』ということになる」と説明。「隠ぺい体質を疑われたくなかった。井岡側は(検査などに)協力的であつれきはない」と冷静に検証を続けてきたことを強調した。
同事務局長によると、昨年の大みそか後、1月に米国の検査機関での陽性判定を受け、2月に倫理委員会を発足。国内機関を経て議論を重ねたという。その上で「対象物が出たのは科学的に証明されている」とし、7月の倫理委員会で倫理規定に違反するかどうかを協議することも明らかにした。
井岡は昨年末にフランコと引き分けた後、WBO王座を返上。今回は挑戦者として再戦する。
◆前回のドーピング騒動 井岡がWBO世界スーパーフライ級王者だった20年大みそかの田中恒成(畑中)との防衛戦で採取された井岡の尿から、大麻を含む違反薬物が検出されたと21年4月に一部週刊誌が報道。井岡側は使用していたCBDオイルから大麻成分が検出された可能性を挙げて摂取は否定した。一方の田中側もJBCに質問状を送付したが、回答に不満を表明した。JBCは倫理委員会の答申で検体の管理の不備など検査体制に問題があったことを認め、処分は下さなかった。井岡側は役員退任を求める上申書を提出し、7月に井岡とJBC理事長が同席して記者会見を開き、謝罪文を手渡した。




