【長谷川穂積の拳心論】ポンポン、ポーン、独自のリズムで自分の距離を維持した寺地拳四朗選手

 「ボクシング・WBA・WBC世界ライトフライ級王座統一戦」(1日、さいたまスーパーアリーナ)

 WBC王者の寺地拳四朗(30)=BMB=がWBAスーパー王者の京口紘人(28)=ワタナベ=を7回TKOで倒した。序盤から主導権を握り5回に右でダウンを奪い圧倒。最後は右ストレート一撃で大学時代からのライバルに完勝した一戦を、元世界3階級制覇王者・長谷川穂積氏(41)が独自の視点で分析した。

  ◇  ◇

 日本人対決だからこそ負けたくない。負ければ評価が落ちるというリスクを負う統一戦で、素晴らしい試合を見せてくれた両選手に拍手を送りたい。

 試合を分けたのは、寺地選手が自分の距離をキープし続けたことだろう。ボクサーはパンチを当てる時に最も気持ちがよい距離がある。サンドバッグ、ミット打ちでも一番強いパンチを打てる得意な距離だ。

 どんな選手も、自分のリズムをキープして得意なパターンに持っていきたい。それを維持し続けたのが寺地選手。パンッと気持ちよく打てないままだったのが京口選手だった。

 互いの距離の奪い合いで寺地選手がそれをキープできた要因は、ジャブ、ステップのテンポによる。彼はポン、ポン、ポンと決まったリズムでジャブを出すのではなく、ポンポン、ポーン、ポン、ポンと独自のテンポを刻む。ステップも微妙にリズムが変わる。

 ボクサーは1、2、3、4、5と型を持っており、1の選手は1~5まで対応できるが、2の選手は1が苦手で2~5には対応できる。例えばメイウェザーはすべて対応できる1の選手。寺地選手は2の選手、京口選手は3の選手。非常にハイレベルな部分で寺地選手が型の多さでやや上回っていた。

 最後に。京口選手は、倒れる瞬間まで反撃するのではないかと思うほどの精神力だった。世界王者の底力をしっかり見せたと思う。

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