井上拓真 和気に判定勝ち!1階級上げてWBOAP王座奪取も次は再びバンタム級へ

 「ボクシング・WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級王座決定戦」(11日、後楽園ホール)

 同級1位の井上拓真(24)=大橋=が同級3位の和気慎吾(34)=FLARE山上=を3-0の判定で破り、新王者となった。

 WBA・IBF統一バンタム級王者の井上尚弥(大橋)を兄に持つ拓真は19年11月にWBC世界バンタム級暫定王座を同世界王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)に判定で敗れて失った後、21年1月に栗原慶太(一力)からOPBF東洋太平洋同級王座を奪取して再起。防衛戦を行わずに同王座を返上し、兄が4団体統一を目指すバンタム級から1階級上げて王座獲りに臨んだ。

 相手の和気は長く日本スーパーバンタム級のトップ戦線で戦い、世界挑戦経験もあるサウスポーの実力者。拓真は序盤、身長で12センチも上回る和気の距離を取るボクシングを攻めあぐんだが、4回開始早々、タイミングよく懐に飛び込んでの右ストレートでダウンを奪う。そこから一気に猛攻を仕掛けたが、大振りが目立ってパンチに精度を欠き、仕留めることはできなかった。

 その後は和気が出て来るのを待つ場面が多かったが、左フック、右ボディーを繰り出しながら一進一退の攻防を展開し12回終了。3者とも117-110を付ける判定で勝利した。

 試合後は、左フックと右のカウンターを中心に進めた戦いを「父(慎吾トレーナー)とそういう練習をしてきたので、少しでも試合で出たかなってのは、いい収穫になりました」と振り返った拓真。だが、4回のチャンスで勝負を決められなかったことには「あそこで終わらせたい気持ちもありましたけど、冷静さが足らなかった分、空振りも多かった。ナオ(尚弥)はそういうところは仕留めてきてるので、差はまだまだ大きいなと痛感しました」と、兄と比較しながら反省した。

 リング上のインタビューでは、理想のボクシングまでの完成度を「60%」と話した。その理由については「ダウンしたときの詰めの甘さだったり、後半でも相手を頑張らせてしまったのは自分のいけないところ」と説明。だが、所属ジムの大橋秀行会長は「拓真の課題が大きく見えた試合だったけども、試合全般を見れば拓真の完封勝ちだったと思う。ボクの個人的な評価は高い」と語った。

 また、拓真はこの試合を含めて17戦でKO勝ちがわずかに3とパワーに物足りなさがあったが、1階級上の戦いに「相手が大きい分スタミナも使うんですけど、スタミナも最後まで持ったし、パンチ力も階級の差を感じなかった。前に比べて体重の乗ったパンチを打ててきてると思う」と成果を実感。大橋会長は階級を上げた理由の一つに「相手がいないから」と話し、「これでまたバンタム級に戻す。今日の感じでバンタム級に行けば、またパワーも生きてくる。(スーパーバンタム級は)一つの選択肢として」と今後の見通しを語った。王座返上の可能性については明言しなかった。

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