【長谷川穂積の拳心論】注目の大みそか決戦!勝負の鍵は…恒成「勢い」井岡「経験値」

 前日計量をパスした田中恒成(Ambitionジム提供)
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 「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(31日、大田区総合体育館)

 デイリースポーツ・ボクシング評論家の元世界3階級制覇王者、長谷川穂積氏(40)が、大注目の大みそか決戦を展望する。王者・井岡一翔(31)と挑戦者・田中恒成(25)の力量に差はないという長谷川氏。日本男子唯一の世界4階級制覇王者、井岡の「経験値」と、無敗で3階級制覇を成し遂げた田中の「勢い」が、勝負の鍵を握ると予想した。30日は都内で前日計量が行われ、井岡、田中ともにリミットの52・1キロで一発クリアした。

 ◇  ◇

 4階級制覇と3階級制覇。実績のある日本人同士の対決は、ボクシングファンならずとも注目していることだろう。この2人は資質も力量もほとんど差がなく、僕も勝敗の予想がつかない。注目しているのは、非常にわかりやすい構図。「キャリアの井岡」と「勢いの田中」のせめぎ合いだ。

 まず、井岡選手は負けを知った強さがある。スーパーフライ級での敗戦(ニエテス戦)でボクシングの難しさを知ったことで、今の彼がある。経験の積み重ねによって、この階級にフィットするスタイルや、ポイントの取り方を知り、堅いガード、パンチをもらっていないように見せる技術も身に付けた。

 一方の田中選手は、25歳で無敗という勢いが強み。4階級制覇への強いモチベーションがあり、年齢的にもたとえ負けてもやり直せるので思い切りいける。不安要素は初のスーパーフライ級ということくらいか。階級を上げた直後は、慣れない感覚を味わうものだ。

 井岡選手は、負ければすべてを失うという王者の重圧がある。年齢的にも後がない。ただ、スーパーフライ級を取ってからの勢いは田中選手にも引けを取らないとも感じる。

 もう一つの対戦構図に「タイミングの井岡」と「スピードの田中」がある。どちらも一発のパンチャーではないが、井岡選手はスピードよりタイミングで、ジャブを主体にした独特のコンビネーションがある。経験値で相手に合わせた戦い方もできる。田中選手は足が速くハンドスピードがあり、出入りもうまいが、井岡選手のようなやりにくいタイプは初めてではないだろうか。

 どちらもスタミナがある選手。タフな好試合を楽しみにしている。

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