「ボクシング・ＷＢＡ世界ミドル級タイトルマッチ」（２３日、横浜アリーナ）

　王者の村田諒太（３３）＝帝拳＝に挑戦する同級８位スティーブン・バトラー（２４）＝カナダ＝が１６日、都内の帝拳ジムで公開練習を行い、軽めの内容で済ませて手の内は見せなかった。

　２８勝中ＫＯが２４の強打者で、ニックネームの「ＢＡＮＧ　ＢＡＮＧ（バンバン）」はバンバンと音が鳴るようなパンチを放つことでマネジャーから名付けられたというバトラー。８日に来日し、「日本でもトレーニングをし、トップに立つためにやれることはやって来た」と調整順調をアピールした。

　村田を「とてもいい、強いファイターと思っているし、尊敬している。彼がチャンピオンであるのには理由がある」と評価しつつ、「１０週間かけて調整をし、彼の勉強をしてきた。なので、ベルトを取る準備はできている」と、王座奪取に自信。だが、１０週間の調整内容を問われると、バトラーのトレーナーが「申し訳ないが、教えることはできない。場所はカナダの某所だ」と口を閉ざした。

　帝拳ジムは練習できるように態勢を整えているとのことだが、バトラー陣営は来日からこの日まで一度も姿を見せておらず、日本での練習場所を問われても「それもプライベートなことだ」と明かさず。

　来日時には後日にスパーリングパートナーも来ると話していたが不在で、「計画が変わった。パートナーは連れてきていないが、日本で必要なトレーニングは積んできた」と説明。最後には「みなさんに爆発力のある試合をお見せする。村田選手とお互いに強いパンチを持っているので、２人のパワーと戦略がぶつかり合うだろう。どのような戦略かは話せないが、お楽しみに」と不敵な笑みを浮かべた。

　披露した練習でもシャドーボクシング、ミット打ち、サンドバッグ打ちを軽めに済ませただけで手の内は見せず。だが、時折長い腕から繰り出す、伸びのある左ジャブ、右ストレートはバンバンのニックネームにたがわぬ力強さを感じさせ、練習中に「アンド・ニュー（チャンピオン）」（新チャンピオン）と叫ぶちゃめっ気も見せた。

　練習を視察した帝拳ジムの浜田剛史代表は「昔は（公開練習で）スパーリングは必ず見せたが、常に動ける状態は作ってあるのだろうとは思った。試合までは本当のことは出さないんじゃないか」と物足りなさを口にした。そのような中でも、数少ないながらも披露した強いパンチについては「右はやっぱり決め手でしょう」と話し、「好戦的な選手だが、そうくるのか、距離を取ろうとするか、試合をしないと分からない」と展開を予想した。