尾川、米国で戴冠!日本選手36年ぶり 「これで人生が変わる」

 「ボクシング・IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦」(9日、米国ラスベガス)

 IBF世界スーパーフェザー級4位の尾川堅一(29)=帝拳=が同級5位のテビン・ファーマー(27)=米国=を2-1の判定で下し、世界初挑戦で新王者に輝いた。日本人選手が米国で世界王座を獲得したのは、1981年のWBAスーパーウエルター級・三原正(三迫)以来、36年ぶりの快挙となった。

 「ケンイチ・オガワ」と勝者の名がコールされた瞬間、尾川は一瞬驚いたような顔をした。だがすぐに歓喜を爆発させ、コーナーに駆け上って両手を突き上げた。「リングの上では信じられなくて。これで人生が変わる」と喜びをかみしめた。

 技巧派サウスポーとの際どい試合を制したのは、アグレッシブな姿勢だった。尾川の右を警戒して動き回るファーマーに対し、プレスをかけ続けた。7回はワンツーを決め、10回にはゴングと同時に襲いかかった。これは不発に終わったが最後まで攻め続けた。

 5回に右目の上を切ったため視界が悪くなり、左フックをもらう場面もあった。「最終回は相手が何人にも見えた」という。それでもひるむことはない。自分のスタイルを最後まで貫き通し、悲願の世界ベルトをつかみ取った。

 尾川のルーツは日本拳法にある。プロテクターを着けた打撃格闘技で、父の雅一さんが指導する道場に2歳で入門。明大では4年時に主将としてチームをインカレ団体優勝に導いている。鋭い踏み込みから放つ強打は、日本拳法仕込み。「自分の一番得意な右ボディーストレートも何度か入っていたし、自信を持っていいパンチだなと思っています」と笑みがこぼれた。

 日本選手が米国で世界王者になるのは、1981年のWBAスーパーウエルター級・三原正以来、36年ぶりだ。「これで尾川堅一以来と語り継がれる。自分の名前を刻むのが最大の目標だし、生きているからには世界一になりたかった」。不利と言われる敵地で成し遂げた快挙に、29歳の新王者は胸を張った。

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