全日本プロレス復活の理由 秋山社長、観客動員上り調子に手応え

 “王道”に復活の足音が響いている。分裂、主力の大量離脱など、存続が危ぶまれるほどの苦境に陥っていた全日本プロレスの観客動員が、“プロレスの聖地”東京・後楽園ホールで満員を続けるなど増加に転じている。老舗団体はどのようにして立ち直ったのか。27日に両国国技館で開かれる45周年記念大会を前に、レスラーであり社長の秋山準(47)に理由を聞いた。

  ◇  ◇

 -観客動員を見ると上り調子のようだが、手応えは感じているのか。

 「もちろん。最悪な時を見ているので、その時に比べれば全然よくなっています」

 -社長就任時は武藤敬司らがWRESTLE-1を旗揚げした後のどん底の時期。その時の気持ちは。

 「正直やりたくなかったですね。会社の状況、収支もよくなかったし、いい要素がほぼなかった」

 -そこからどう立て直そうと考えたのか。

 「悪い状況でしたけど、渕(正信)さんを筆頭に各世代にまんべんなく選手がいて、若い子も残ってくれて、今持ちこたえればなんとかなるんじゃないか、という思いはありました。それから、全日本プロレスそのものを応援してくれるファンがいたのも大きい。観客動員もかなり落ち込んでましたが、大きな声で応援してくれて、観客が少ないことを感じさせなかった。選手もやりやすかったし、大きかったですね。全日本には何度か危機があったとは思いますが、ボクは危機を脱した頃に入ったので、そんなに分からなかった。でも、こうやってファンの方に助けられてきたんだな、というのは分かりました」

 -15年秋には苦境に追い打ちをかけるように離脱者が続出。業界内では団体の存続を危ぶむ声も聞かれた。

 「きつかったですね。でも、選手や社員の前でダメだとか、きついなという表情、態度は出しちゃいけないと思いました。嫁さんの前ぐらいですかね、『やっぱり、きついな』って言ったのは」

 -どうやって上げていったのか。

 「若い子たちが頑張ってくれたというか、そこが大きかったかもしれない。ボクが入る前に天龍さんたちが抜けたときも、三沢さん、川田さん、小橋さんの若い世代が出てきて、団体に力を与えた。若い選手が頑張るから若い人も見に来てくれるのをボクも見ているので同じようなことをやった。その筆頭が宮原だと思う」

 -16年1月には、同年11月に3年ぶりの両国国技館大会開催を発表。後楽園ホールの半分も埋められなかった時期で、業界では危ぶむ声も多かったが。

 「何やってんだよって?ハハハ。ただ、選手に目標を与えてあげないといけないし、その点では両国はいい場所と思ったのでやろうと。ファンもそこまで応援しようという気持ちを持ってくれるんじゃないかと思って」

 -開催できる力はあった?

 「お金ですか?ハハハ。確かに勝負でしたけど、勝負できるものはありました。割とプロレス界はどんぶり勘定でやってきたところがありますけど、ボクはそうではない。ボクは意外と石橋をたたいて渡る方なので。要は赤字にならなければいい。両国でやれば宣伝効果もありますよね。ある程度の見込みは立てて、スポンサーさんも協力をしてくださったので、数字が見えた中で、よし、やろうと。何百万円もマイナスくらうのにやるとか、そういうのはない」

 -そこから団体も盛り上がり、両国大会は6千人以上動員。効果は大きかったのでは。

 「普段から『後楽園を超満員札止めにできるように』とみんなに言っていた。両国は1年に1回ぐらいじゃないですか。後楽園はほとんど毎シリーズやっている。それを満員にしていければ、地方にも徐々に伝わっていくんだろうなと思っていました。でも、去年の両国をやったころはまだ後楽園も超満員というほどではなかった。だから、余計にみなさんはバクチだとか受け止めていたと思うんですけど、今は後楽園もよく入ってきている」

 -現在のプロレスブームをどう見ているのか。復活した新日本プロレスの“1人勝ち”とも言われているが。

 「そうでしょうね。新日本のブームだと思うし、(親会社の)ブシロードさんがうまく演出されたと思うし、それがあるからプロレスという言葉が表に出て、その効果も他の団体に来てるんじゃないかとも思う。新日本がすごいというのは誰だって分かる。ただ、ボクがデビューしたころは新日本と全日本が並び立っていた。ボクの中にもそういうプライドはあるし、負けたくない思いはある」

 -全日本は過去に何度も超満員を記録した日本武道館大会のイメージがある。いつかは武道館に戻りたい?

 「全日本プロレスの一番の会場は武道館。武道館に行けたら、ボクはもうやめますよ。そこで引退します」

 -武道館に戻ったときが全日本の復活か。

 「そうですね。でも、武道館に行かなくても復活させないといけないと思う。(社長になって)3年ですけど、3年でよくここまで来たなと思いますよ」

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