五十嵐、判定で初防衛 会長は「合格」
「WBC世界フライ級タイトルマッチ」(3日、ゼビオアリーナ仙台)
WBC世界フライ級は王者・五十嵐俊幸(28)=帝拳=が同級9位のネストル・ナルバエス(30)=アルゼンチン=を2‐0の判定で退け、初防衛に成功した。
切れた両まぶたから流れる鮮血で視界をさえぎられながら、五十嵐は終盤の劣勢に耐えて逃げ切った。ベルト死守にも「初防衛戦は思った以上に厳しかった。全然ダメ」と反省しきり。王座を獲得した7月の前戦に続く判定辛勝に「『ギリギリのがけっぷち』が自分には似合ってるんじゃないですか」と苦笑した。
それでも進化を証明した。接近戦から手数で圧倒。8回までの判定で、すべて3ポイント差の3‐0とリードした貯金が最後まで生きた。五輪出場した日本の世界王者では初の防衛成功。ジムの初代世界王者である故・大場政夫氏の5度防衛を目指すアテネ五輪代表が偉業に一歩前進した。
帝拳ジムの本田会長は「合格です」。来年2~3月めどの次戦について「ソーサとやりたいので交渉中。指名試合は4月までないが、向こうがOKならやりたい」と、WBC世界ライトフライ級王座を10度防衛したメキシコの英雄との早期激突を示唆した。
五十嵐も「来年の春前だと思うが、強い選手とやりたい」と熱望した。来年は大場氏の死から40年。現役のまま23歳で首都高に散った“伝説のチャンプ”を追う五十嵐が飛躍の年を迎える。
