五十嵐、涙の戴冠!大場さんのベルト奪回

 「WBC世界フライ級タイトルマッチ」(16日、春日部市総合体育館)

 WBC世界フライ級1位で挑戦者の五十嵐俊幸(28)=帝拳=が同王者・ソニーボーイ・ハロ(30)=フィリピン=を2‐1の判定で下し、初挑戦での世界王座奪取に成功した。帝拳ジム所属の世界王者は史上最多の4人。日本人の世界王者は1人増えて8人となった。

 初挑戦で世界王座を奪った五十嵐が、葛西裕一トレーナーに肩車され、ガッツポーズでファンの祝福に応えた。「技、体力でもない。精神力で勝った」と、胸を張った。栄子夫人(39)、長男・比呂くん(2)もリングに上げて喜びを分かち合い「いい指輪を買ってあげたい」と目頭を熱くした。

 王者には足を使いながら真っ向勝負に出た。ハロはジロリとにらみながら重いパンチを繰り出してきた。だが、ひるむことなくジャブを突き、左を上下に打ち分けて手数で優位に立った。

 11回はパンチをブロックした際にヒモで左目上をカットして流血。最終回は、ポイントを取らなければ引き分けという状況で打ち勝った。「ギリギリの距離の出入り。オールマイティーに行こうと思った」という作戦を貫徹して粘り勝ちした。

 ジム初の世界王者になった故大場政夫さん(享年23)がV5防衛後の73年1月に不慮の事故で手放したフライ級ベルトを39年ぶりに取り戻した。この日は大先輩が現役時に使用した減量着を会場に持参して“お守り”にした。「パンチは今まで一番効いた。本田会長の『根性だ』と言う声と、ビデオで見た大場さんの逆転シーンを思い起こして力を出せた」と言う。

 アテネ五輪では初戦敗退したが、今回は“プロの金メダル”を射止めた。五輪戦士が世界王座に就いたのはロイヤル小林、平仲明信以来20年ぶり3人目だ。西岡利晃、粟生隆寛、山中慎介に仲間入りし、国内歴代最多となる同一ジム4人同時王者が誕生した。新王者は「残された時間には限りがあるが、できる限りのことをやりたい」と、目を輝かせた。

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