【聞きたい】大学を出て上京してから５年以上になります。地元で一生を終えるのが嫌で都会に出て来たのですが、どうしようか迷っています。楽しくないことはないけど、特にやりたいこともなく、一人でいると寂しさもあります。「地元でいい人いないかなぁ」とも思うし…。松野さん、どう思われますか？（２９歳・女性）

　【答えます】私が中学生２人の親だからか、親御さんが娘さんを思う気持ちを考えてしまいました。大学に行かせるのは大変なんですよ。ちゃんと行かせて、都会に出たいという夢も理解し…恵まれたご家庭ですよね。

　家族と離れ、寂しさも感じながら、これからどうしようか悩む…長い人生の中で、本当に幸せで大切な時間です。でも、そろそろボーッとする時間は終わり！これまでのゆったりとした時間を財産に、自分のために仕事も頑張ってくれた家族に恩返しをする時期ではないでしょうか。

　親というのは娘さん、息子さんが頑張ってる姿を見るのが一番うれしいんです。ボランティアをするとかマラソンに挑戦するとか、何でもいいから目標を立てることです。仲間ができて視野も広がります。目標を達成することより、それに向かって必死に歯を食いしばる姿がキラキラと輝くんです。それが恩返しにつながります。

　私は昨年５月に母を亡くしました。後でもっと親孝行しておけば…と思っても遅いですよ。何かに挑戦すること以外にも、家に帰って近況報告するとか一緒に旅行に行くのもいいですね。

　２９歳だなんてうらやましいですよ。今が一番いい時期！まだ無理もできます。納得する人生を送るためには、まずはこれから５年と決めて頑張って頂きたい。東京に残ってもいいし、地元に戻るのもいい。何かに夢中になって自分が生き生きしている中でこそ、素敵な人にも出会えるはずです。後で振り返って、あのとき挑戦して良かったなあと思えるように有意義に過ごして欲しいです。

　◆松野明美（まつの・あけみ）熊本県出身、４９歳。８８年ソウル五輪女子１万メートル出場。引退後の０１年に結婚、２児の母。現在は熊本県議会議員。講演、タレントなど多方面でも活躍。デイリースポーツ陸上評論家。