「オーバーツーリズム」って聞いたことありますか

 訪日外国人観光客は年々、伸びる一方だ。観光立国を目指す日本にとって歓迎する現象であることは事実だが、その反面、観光地の大混雑やマナー面の問題など、今後に向けての課題も浮き彫りになっている。ハイヒール・リンゴは身近なところに目を向けて問題を提起する。

 みなさんは「オーバーツーリズム」という言葉を耳にした事はありますか。「観光公害」とも呼ばれますが、観光客が増える事によって起こる弊害という事です。最近、自民党が「観光公害と表現せず、オーバーツーリズムにしましょう」などと働きかけをしているようですが、気を遣い過ぎて言葉の意味がよく分からない。だいたい誰に気を遣って言い換えるのかもよく分からないじゃないですか。

 観光による弊害は日本だけでなく、過去にイタリアのベネチアやスペインのバルセロナでも観光客が増え過ぎて弊害が起き、観光客を規制する動きが出た事もあったそうです。日本でもそういう事が見えてきています。

 例えば、京都では景観対策があるので一等地を効率よく稼働させるべく、オフィスや住居よりホテルとして運用するために家賃がハネ上がり、若い人が起業できないし気軽に住めないという現象が起きている。若い働き手が郊外に出て行き、ドーナツ化現象のようになっているそうです。

 京都の市バスの混雑も激しいですね。外国人観光客の集団が大きなバックパックを持って乗ると、ぎゅうぎゅうだからお年寄りは乗りにくい。市バスは本来「生活の足」としてのバスなので、大荷物の人の移動用としては適さないんです。例えば荷物の一時預かり所や駅のコインロッカーを増設して持ち歩ける荷物を制限する等、もっと具体的な策が急務だと思います。

 観光立国を目指すのはいいけれど、そこに住んでいる人を守る事もまた必要です。問題はすでに日本各地で起こっています。知人が道頓堀でうどん店を経営しているのですが、外国人のお客さんがたこ焼きを持って店に入って来ると、ダシの香りが飛んでしまうと困っています。外国の人は、なぜ止めてほしいかがなかなか分からないそうです。でも日本と外国はマナーや常識が違うから、そこはキチンと伝えないとだめですよね。

 外国人観光客はこれからもどんどん増えるでしょう。それはとてもありがたい事です。だからこそ、外国人観光客とおもてなしする側がウィンウィンになるためには、日本の文化を守りつつルールの設定とその説明をキチンとする事が必要です。「観光公害をオーバーツーリズムと言い換えましょう!」なんて言ってる場合なのか疑問に思います。

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