「MBTIは何?」と聞かれることに飽き飽き 西村誠司氏の人生相談

 【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】

 にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。

 【相談】 20代会社員です。最近、友人や職場の人から「MBTIは何?」と聞かれることが増え、正直飽き飽きしています。MBTIとは、いくつかの質問への回答をもとに人の性格を16のタイプに分類する性格診断で、若者の間で流行しています。自分の性格を知るきっかけとしては面白いと思いますが、人の性格は環境やその時の状況によって変わるものだと思っています。それなのに、「このMBTIだからこういう人」と決めつけられてしまうことには違和感があります。西村社長はこのような性格診断をどのように見てらっしゃいますか?また、企業の社長として社員を採用する際にMBTIのような性格診断は重視していらっしゃいますか?

 【回答】 ご相談ありがとうございます。MBTI、最近よく聞きますよね。若い社員同士の会話でも話題になることがあると思いますし、自分自身を知ったり、会話のきっかけにしたりするものとして楽しむ分には面白いものだと思います。

 ただ、私は人間を16種類にきれいに分けられるとは思っていません。人の性格や行動は、置かれた環境や一緒にいる相手、自分が背負っている責任によっても変わります。仕事では積極的でもプライベートでは慎重な人もいますし、若い頃と40代、50代では考え方も変わるでしょう。私自身も、会社を立ち上げた25歳の頃と今とでは、同じ人間でも随分違うと思います。

 ですから、「あなたはこのタイプだからこういう人」と決めつけてしまう使い方には、私も違和感があります。これは採用でも同じです。私はこれまで多くの人を採用してきましたが、性格診断の結果だけで人を判断するようなことはしません。採用では経歴や能力だけではなく、実際に会って話したときの人柄をとても大切にしています。仕事は結局、人と人が一緒にするものだからです。

 たとえば、素直に人の話を聞けるか。周囲への感謝があるか。何かを成し遂げたいという意欲があるか。困難なことが起きたときに逃げずに向き合えるか。そして、「誰かの役に立ちたい」という気持ちを持っているか。私は、そうした部分を実際の会話の中から見たいと思っています。

 私の会社は新しい事業に挑戦することが多く、昨日までなかった仕事が突然生まれることもあります。そういう環境では、「私はこういうタイプなので、この仕事しかできません」と自分を固定してしまう人よりも、変化を楽しみながら成長できる人のほうが活躍できると思います。

 もちろん、性格診断を採用や人材配置の参考情報の一つとして使うことまで否定するつもりはありません。「自分はこういう場面では慎重になりやすい」「この人とは物事の考え方が違うのかもしれない」と、お互いを理解する入り口として使うのであれば意味はあるでしょう。

 ただし、参考資料と評価そのものは別です。私が少し怖いと思うのは、「このタイプだから営業には向かない」「このタイプだからリーダーにはなれない」と、本人がまだ見せてもいない可能性まで周囲が決めてしまうことです。もっと怖いのは、本人まで「自分はこのタイプだから仕方がない」と、自分の可能性に線を引いてしまうことです。

 人は経験によって変わります。苦手だったことが得意になることもあれば、責任を与えられたことで驚くほど成長する人もいます。私は経営者として、そういう変化を何度も見てきました。

 ですから、MBTIを聞かれたら、あまり難しく考えず「そういう見方もあるんだな」くらいでいいのではないでしょうか。診断結果はあなたの一面を表しているかもしれません。でも、あなたという人間そのものではありません。

 採用する側としても、一緒に働く側としても、私はアルファベット数文字を見るより、目の前の人と話したい。その人が何を考え、何を大切にして、これからどうなりたいのか。人間は16種類に収まるほど単純ではないからこそ、面白いのだと思います。

 ◇西村 誠司(にしむら・せいじ)1970年生まれ、愛知県出身。「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数8万3000人。

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