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檀家10軒の小さなお寺の住職は元落語家 50代にして自分でも驚きの転身「天職かも…」

落語家の笑福亭鶴瓶に弟子入りし、関西を中心に寄席やテレビ、ラジオなどで幅広く活躍した笑福亭瓶太が今、滋賀県にある小さな寺で住職として新たな人生を歩んでいる。住職を務めるかたわら、噺家「てんご堂雅楽」を名乗り、公民館などで落語も披露。ご近所さんとの何気ない交わりを楽しむ日々に、しみじみと幸せを感じているという。

浄土宗雲迎寺の住職、久志則行(くし・そくぎょう)さん。大学卒業後2年間のサラリーマン生活を経て、1988年に弟子入り。瓶太の名でお茶の間に親しまれたが、2016年に一門を離れ、てんご堂雅楽に改名した。

仏門に入ることになったのは偶然…、否、「見えない力による導き」だという。

「落語家を辞めて1カ月後くらいに、ある法要に呼ばれて顔を出したんです。そこで今の師匠である僧侶と知り合いまして。何気なく『自分のような人間でも仏門に入れるのか』と訊ねてみたら『その気があるなら弟子にしますよ』と言ってくださった。そこで、妻と相談して『この際だからぜひお願いしよう』ということになったんです。まさか自分が仏門に入るなんて、思ってもみませんでした」

3年間の修行は2019年12月に終了。56歳で晴れて僧侶となり、先代が亡くなって以来ほぼ10年間住職がいない「無住寺」状態だった雲迎寺の第20代住職に就くことになった。

「檀家は10軒だけ。総代さんには『お寺の収入だけでは生活できませんよ』と念を押されましたが、落語の仕事も続けたい僕にとっては願ったり叶ったりです。喜んでやらせていただくことにしました」

傷んだ住居部分をリフォームし、今年6月から夫婦で本格的に住み始めた久志さん。持ち前の明るさと落語家として鍛えた話術で瞬く間に住民らと打ち解け、わずか数カ月で「ここにもう何年おる?」というくらい地域に馴染んでしまう。

「お寺を訪ねてきてくれる人と話していると、『ああ僕はこういうことがしたかったんや』と心から感じるんです。お寺から木魚の音が聞こえるのが嬉しい、と檀家さんも喜んでくれるんですよ」

「それにしても50代で出家し、見知らぬ土地でお寺の住職になるなんて。自分でも不思議なんですけど、その一方で『なるべくしてなった』という気持ちもあるんです。決して楽ではありませんが、今は心から幸せ。これからの人生、楽しみで仕方ありません」

400年の歴史があるという雲迎寺は、地元では「さつき寺」の別名で知られ、季節になると境内で見事なサツキが咲き誇る。「来年はここでたくさんの人をお迎えしたいと思っていますので、ぜひ足を運んでくださいね」

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