大腸がん「発生させない」ための生活習慣 便潜血検査との両輪でリスクを抑える
前回は「便潜血検査」による早期発見の重要性をお伝えしましたが、今回は大腸がんを「そもそも発生させない」ための一次予防について、科学的根拠(エビデンス)を交えてご紹介します。
まず見直したいのが生活習慣です。国立がん研究センターの調査では、日本人の大腸がんの多くが飲酒や喫煙といった「修正可能な要因」に起因しています。特に飲酒は、飲む量に比例してリスクが高まることが判明しています。例えば、ビール大瓶1本や日本酒1合程度(エタノール約23g)を毎日飲むだけでも、飲まない人に比べてリスクは確実に上昇します。「お酒はほどほどに」という意識は、科学的に裏付けられた強力な「がん予防策」なのです。
食事については、国際がん研究機関(IARC)が、ハムやベーコン等の加工肉を「発がん性がある」、牛・豚等の赤肉を「おそらく可能性がある」と分類しています。赤肉は週に500g未満に抑えることが国際的な目安です。一方で、食物繊維は1日あたり20g以上の摂取が推奨されており、野菜や穀物を意識的に摂ることでリスクを抑える効果が期待できます。
また、運動習慣も不可欠です。身体活動量が多いほど、結腸がんのリスクが低下するという確かなデータがあります。特別なトレーニングは不要ですが、1日60分程度の歩行や、日常的に階段を使うなどの「中強度の活動」を積み重ねることがリスク低減の大きな鍵となります。
こうした習慣を整えつつ、40歳以上の方は年1回の便潜血検査を継続しましょう。定期的な便潜血検査(特に2日法)により大腸がんによる死亡率は約30%低下することが示されています。予防と検診の両輪を使えば大腸がん恐るるに足らずかもしれません。
◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。
