秋バテに注意を!寝込むほど重症でもなく何となく体調がすぐれない→医師が勧める予防法、体を温める根菜類をとり入浴法も改善
日本は毎年「今夏の気温は過去最高でした」を更新し続けています。夏の暑さは厳しくなる一方です。日本は「温帯地方」と私は習いましたが、今は「亜熱帯」と言っても大袈裟ではなく、9月は「夏」。なので毎年のように、私は「秋バテにご注意!」と皆さんに警鐘を鳴らし続けねばならないのです。
夏バテは盛夏におこるものではありません、臨床の現場ではむしろ猛暑が終わった初秋に多く見られます。夏の間に体を冷やし過ぎたことが原因です。冷房の効いた室内と暑い屋外を出入りするのが、いちばん夏バテになりやすいのです。ところが今や秋とはいえ、オフィスではまだ冷房が効いていますし、外気温は不安定で体調管理が難しく、空気が爽やかになる反面、冬に向けて気持ちが暗くなるのもこの季節。痛みを伴うわけでもなく、寝込むほどの重症感もなく、何となく体調がすぐれない。これが秋バテです。
真夏に冷たいものばかり飲んだり食べたり、ずっと冷房の効いた室内にいた人は、新陳代謝が低下しています。冷たいものをたくさん飲むと、胃液が薄まり、食欲不振や消化不良の原因になります。
予防法はまず、弱った胃腸の働きを整えるため、温かい食事を良く噛んでゆっくり食べること。これからは冬の寒さに備える季節です。毎日の生活習慣に少し気をつけるだけで秋バテは予防できます。体を温めてくれる根菜類がおすすめ食材です。
新陳代謝の低下の原因は自律神経の乱れです。私のお奨めは、ぬるめのお風呂でゆっくり体を温め、その後すぐに布団に入ること。入浴後まだ身体が温かいうちに、サッと寝床に入ってしまう。お風呂から出てゴソゴソせず、すぐにパジャマに着替え、身体が冷める前に眠りについて、深い眠りで疲れを取りましょう。入浴のタイミングを1日の最後に持ってくるために、生活サイクルを変える必要がありますが、些細な事の積み重ねで健康は維持できるのです。旬の食材を食べ、ゆっくりお風呂でリラックスし、自然を楽しむ。そんな小さなことを積み重ねて健康を維持しましょう。
◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。
