あなどれない胃がん 50歳前後に急速に発生率上昇 早期発見がカギ、胃カメラ受診が大事 医師が説明

 最近胃の調子が悪いと言って来院される方が増えています。薬で良くならない場合には胃カメラをお勧めします。たいていの場合はご馳走の食べ過ぎや、お酒の飲み過ぎによる胃炎や逆流性食道炎が原因ですが、時に胃がんが見つかることがあります。

 最新のデータでは胃がんは男性では3番目、女性では4番目に多いがんです。私が医者になった30年前は男女ともに圧倒的に胃がんが多かったので、隔世の感があります。減ってきたとは言え、5年生存率は男性で67・5%、女性で64・6%とまだまだ治るがんとは言えません。

 胃がんを早期発見し、お腹を切る手術をしないで内視鏡治療で完結した場合の5年生存率はほぼ100%なので、いかに早期発見が大切かわかっていただけると思います。胃がんは50歳前後に急速に発生率があがり、リスク因子として男性、ピロリ菌感染による慢性胃炎、生活習慣(塩分の多い食事、喫煙、アルコール摂取、野菜や果物の摂取不足)などが挙げられます。

 リスク因子を持つ胃の調子が悪い方は是非胃カメラを受けてください。これらの方は食道がんにもなりやすいので、施行医は食道も注意深く観察してくれると思います。症状のない方は保険診療で胃カメラを行うことは難しいのですが、リスク因子を持っている方は検診の胃カメラをうけましょう。

 食道がんや胃がんの手術をすると術後にご飯が食べられなくなることが多いですが、内視鏡治療で完結すると全く食事への影響はありません。食いしん坊の私からすると、早期発見の意義は治る段階で見つけるという事と同時に、治療後に以前と変わらず美味しくご飯を食べられるような状態でいてもらうことなのです。

 ◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。

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