新型コロナの変異と特性の分析で世界が注目 日本のコロナウイルス研究チーム「G2P-Japan」

 「G2P-Japan」は2021年1月、東京大学医科学研究所の佐藤佳教授が中心となって集まった大学の垣根を超えた新進気鋭のウイルス研究者による、新型コロナウイルス研究チームです。発足わずか1年半の間に、多数の論文が超一流の学術誌に発表され、新型コロナの変異とその特性の分析で、世界中から注目されています。

 2021年11月に南アフリカで確認された後のオミクロン株にいたっては、翌月には感染性や病原性、免疫や薬剤に対する抵抗性に関する論文を発表しています。さらにチームはデルタ株とオミクロン株の、感染に至るまでの仕組みの違いまで明らかにしています。

 病原性の強さが顕著なデルタ株は、細胞融合活性(細胞内への入り込みやすさ)が強く、ウイルスが気管支に感染したらすぐ肺の奥に入り込み、肺全体がウイルスに侵され重症化します。しかし融合活性が低いオミクロン株は気管支に留まり、呼気にウイルスが放出され続けることで、強い感染性が持続します。

 オミクロン株出現までは、従来株・アルファ株・デルタ株と、それぞれバラバラの地域でランダムに生まれており、こうした変異では、その性格が全く異なるウイルスが出現します。しかしオミクロン株以降に起きている変異は、それまでと比べるとずっと小さな変異で、これは毎年少しずつ変化している季節性インフルエンザの流行に近いといえます。

 コロナ禍における最大のイベントはオミクロン株の出現であり、これはワクチンによって免疫を得た人に適応するための変異ではないか、と佐藤教授は推測します。だとすればこの先、オミクロン以上のウイルス変異は起こらず、第9波は来ないのではないか、という予測は、絵空事ではないかもしれません。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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