【谷光利昭医師】夕食後のコーヒー、紅茶をやめるだけで尿漏れ改善も

 ハクショーン!!鼻炎の人にはつらい季節ですね。鼻炎に加え、さらにつらい症状があります。尿漏れです。男性に比べ、女性の尿道は短く、クシャミなどの急激な腹圧上昇で尿漏れが起こるとされています。ある統計によると成人女性の約4分の1に尿漏れの経験があるそうです。原因は4つに大別されます。腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、反射性尿失禁です。

 その中で、我々がよく遭遇するのは、上位2つです。腹圧性尿失禁はクシャミ、咳などの急激な腹圧上昇により尿道が緩み、少量の尿が漏れることを言います。このタイプが全体の約50%を占めます。原因として、妊娠や出産、肥満、高齢などが挙げられます。

 治療は骨盤底筋群体操(ケーゲル体操)などで、蓄尿に関係する筋肉を鍛えることや、膀胱(ぼうこう)の異常収縮を抑え排尿を抑制する薬を投与します。改善されない場合には手術療法もあります。若ければ若いほど体操の効果は期待できますので諦めずに行うことが大切です。

 切迫性尿失禁は、膀胱に尿が貯留した時に、貯留するための筋肉が十分に働かずに漏れてしまいます。過活動膀胱は1つの症状です。神経障害で起こったり、細菌性膀胱炎でも同様の症状が起こりますので注意が必要です。過活動膀胱の場合も体操は効果があります。

 もう1つ重要なことは飲水制限です。また、アルコールやコーヒー、紅茶などのカフェインを含む飲み物を夕方以降に飲むのはお勧めできません。私の医院でも、夕食後のコーヒー、紅茶をやめただけで改善した患者さんがたくさんいます。

 腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁は合併することが多く、混合性尿失禁と呼ばれます。日常で遭遇することが多い疾患ですので、症状があれば主治医にご相談されてはいかがでしょう。高齢の方でも意外にすっきりと治癒される方もおられます。

 ◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。

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