【荒木正医師】健診で「糖尿病の気がある」…どういうこと?

 【Q】健康診断で糖尿病の気があると言われました。まだ糖尿病ではないということでしょうか。どうなったら糖尿病になってしまうでしょうか。(40代男性)

 【A】食事をすると、一時的に血糖値が高くなりますが「インスリン」というホルモンが、すい臓から分泌されることで、時間とともに正常値に戻ります。

 ところが、食べ過ぎで血糖値が高くなりインスリンが分泌されても十分に血糖値を下げられなくなったり、インスリン自体の分泌量が少なくなったりすると血糖値が高い状態が続きます。これが糖尿病ですが、初期には自覚症状がほとんどないため、健康診断での採血の数値で気づかれることがほとんどです。

 糖尿病との診断は、採血での空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビンA1c)の2つの値からです。HbA1cは採血から過去1~2カ月の血糖値の平均値を示す値で、血糖値が正常域だとしてもHbA1cが高ければ、過去1~2カ月は血糖値が高い状態で推移していたと判断できるため、糖尿病の診断に用いられています。

 採血で「空腹時血糖値」が、126mg/dl以上かつHbA1cが6・5%以上だと糖尿病と診断されます。どちらかだけが、この基準に達している場合は「糖尿病型」と言われ、別の日に再び採血を行って診断します。

 「空腹時血糖値」が110mg/dl未満は正常型とされていますので「糖尿病の気がある」というのは、一般的には「空腹時血糖値」が110~126mg/dlの境界型糖尿病にあたる方やHbA1cが6・0~6・5%の方に対して言われることが多いと思われます。この程度の数値なら薬での治療は行わず、まず食事療法や運動療法を行っていただくのが一般的です。

 健康診断では採血以外に採尿も行われ、尿糖も調べられると思います。ただ、尿糖は血糖値が160~180mg/dlを超えるようにならないと検出されないとされるので、糖尿病の目安には用いられることはあっても、診断には用いられていませ

 ◆荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。

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