【松本浩彦医師】あせも?じんましん?食物アレルギーを調べた方がいい

 【Q】この夏、ビールを飲んだ後、首から下全身に赤く発疹が出たことが2度あった。1度目出る前に、炎天下のもと、ゴルフをした。汗をかいた後だったのであせもと思ったが、ビールを飲むたびに発疹が出るのでじんましん?あせもとじんましんの違いを教えてください。(60代男性)

 【A】おそらく、それは「じんましん」です。「あせも(汗疹)」は汗をかいた後にすぐに出るものではありません。かゆみをともなう赤い小さなブツブツですが、毎日同じ場所に何度も汗をかいていると次第に皮膚の表面がザラザラして来て、やがて「あせも」になります。

 正しい病名は「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」だと思います。これは最近になって注目を浴びて来た病態ですが、例えば小麦アレルギーのある人、普通にパンやうどんを食べても痒くなったり、じんましんが出ることもなく特に異常は起こりません。

 ところが、そういう人が小麦を食べた直後に運動をすると、これがいけません。急速に血液の循環が良くなり身体中をそのアレルゲン物質が駆け巡りますと、通常よりはるかに重い症状が出現します。ヘタをすると死ぬこともありますので、じんましん程度で良かったですね、という話になります。

 ちなみにいま公立小・中学校では5時間目に体育の授業をやめる学校が増えてきています。子供の命に関わりますから。恐らくこの方はビールの原料である大麦に軽いアレルギーがあるのでしょう。一度、医療機関でアレルギーチェックを受けることをお勧めします。血液検査で簡単に分かりますから。

 ご質問者だけでなく、食物アレルギーだけは、みなさんも一度病院で調べておかれた方が良いと思います。思ってもみなかった食べ物にアレルギーがあった、なんて事がよくあります。普段から食べているけど何も起こりませんよ…が一番怖いんです。そういう人が知らずに食べて、直後に運動して、呼吸が止まる、心臓が止まる。これが食物依存性運動誘発アナフィラキシーです。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤プラセンタ学会会長。

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