【荒木正医師】心臓カテーテル検査の合併症頻度は高くない 安心して検査を

 【Q】階段を上る際に胸の痛みを感じ、病院で受診したところ狭心症が疑われると言われました。心臓カテーテル検査を受けることになりましたが、どのような検査でしょうか。(70代男性)

 【A】心臓は全身に血液を送り出すポンプの役目をしており、送り出された血液は体中の細胞で栄養として利用されます。心臓は1日10万回も動き続けておりますが、その心臓の周囲には心臓自身の筋肉に栄養を送っている冠動脈という血管があります。

 この冠動脈が詰まりかかるのが狭心症で、心臓カテーテル検査は実際に冠動脈までカテーテルという直径2ミリほどの細い管を運び、血管造影剤を冠動脈に流してレントゲンで撮影するものです。

 具体的な方法ですが、カテーテルを心臓まで到達させるためには体の表面を走る動脈に針を刺す必要があります。針を刺しやすい動脈として、手首にある橈骨(とうこつ)動脈、肘の小指側を走る上腕動脈、足のつけ根にある大腿動脈の3か所が一般的に利用されます。

 橈骨動脈は普段、脈を触れる際にもよく利用される血管で、昨今のカテーテルの狭小化や検査後の止血の簡単さを考慮して多くの症例で使用されております。動脈に針を刺し血液の流れとは逆にワイヤーという針金を進めて、それに沿わせてカテーテルを大動脈から冠動脈の入り口まで進めます。そこから冠動脈に造影剤を流して撮影することで、その場で病変を認識でき、実際に病気があった場合にはそのままカテーテル治療に移行することもあります。

 一部の病院では日帰り検査もできますが、多くの病院で1泊2日の入院になることが多いです。検査の合併症としては大動脈の壁についている動脈硬化の破片をカテーテルで削って脳や腎臓、足の血管などに飛ばしてしまうカテーテル塞栓症、造影剤によるアレルギーや腎機能の低下などがありますが、頻度はそれほど高くなく、比較的安心して検査を受けて頂ければと思います。

 ◆荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。

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