ダイナマイト慎吾ことロッテ・石川慎吾の魂の雄たけび

ナインを鼓舞するパフォーマンスだ!2回2死満塁、押し出しの四球を選び雄たけびを上げる石川慎吾=7日、ZOZOマリンスタジアム(撮影・開出牧)
1軍昇格即4番起用に応えてノリノリだ!1回、先制の左前適時打を放ち“波乗りポーズ”を決める石川慎吾=7日、ZOZOマリンスタジアム(撮影・開出牧)
カモン!オレに続け!とばかりに右腕を激しく動かしナインを鼓舞しながら一塁へ向かうロッテ・石川慎吾=7日、ZOZOマリンスタジアム(撮影・開出牧)
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 ダイナマイト級の雄たけびだ!1軍昇格即4番で期待に応えたロッテ・石川慎吾外野手(32)だ。

 7日の楽天戦(ZOZOマリンスタジアム)の二回2死満塁、押し出しの四球を選び、一塁ベンチに向かって雄たけびをあげた。カモン!オレに続け!と言わんばかりに右腕を激しく回した。6連敗中のチームを鼓舞する魂のパフォーマンス。久しぶりに“魂の雄たけび”を見た。

 かつて巨人からトレード移籍した沢村拓一投手が、1軍合流した日に即登板。打撃投手のユニホームを借りてリリーフマウンドに上がり、3者連続三振デビューを果たし、魂の雄たけびをあげたシーンが脳裏によみがえる。巨人の3軍でどん底を味わった男が、パ・リーグで再起をかけて上がったマウンドだった。私は一塁カメラ席で鳥肌が立ち、心を揺さぶられた。最近では、昨シーズン終盤のCS進出を決める楽天戦(楽天モバイルパーク宮城)でプロ初の2ケタ勝利を挙げた佐々木朗希投手の、地元東北の夜空に響く“魂の雄たけび”を思い出す。

 2023年に打撃力を買われて巨人からトレード移籍した石川だが、1軍に定着できないまま3シーズン目を迎えていた。1軍に昇格するや4番DHでの起用に「ラストチャンスだと思って打席に立ちました」と試合後のヒーローインタビューで並々ならぬ覚悟と意気込みを振り返った。

 一回1死一、二塁の場面で訪れた第1打席は、レフトへ先制タイムリーを放ち、自軍ベンチに向かって笑顔で“波乗りポーズ”。6連敗で最下位に沈むナインに、ビッグウエーブを起こせと言わんばかりのパフォーマンス。これに次打者の岡が中前打で続き、ルーキーの西川が中犠飛を放って追加点を奪った。

 そして訪れた二回2死満塁の場面で迎えた第2打席は、押し出しの四球を選ぶ。4番らしく打ってアピールしたいところだったろうが、チームの勝利のために、不安定な立ち上がりの楽天の先発・藤井のボールを冷静に見極めた。

 石川を1軍昇格即4番で起用した吉井監督の采配は的中した。愛称の“ダイナマイト慎吾”は、パンチ力のある打撃に由来するが、喜怒哀楽が豊かな明るい性格にもマッチしている。打撃力のあるムードメーカーを4番に起用することによって、停滞する空気を変える狙いがあったのだろう。指揮官の思惑と期待に見事に応えた石川がくすぶっていたダイナマイトの導火線に火を付けたのだ。三回には友杉が左中間適時三塁打で追加点、六回は高部が右前適時打、さらに藤岡が右越え2ラン。6人の投手リレーで連敗を6で止めた。

 昨季は5月から6月にかけて19年ぶり15戦負けなしの11連勝をしている。粘り強く泥くさい野球だった。中でも小川のガッツあふれるプレーが目に焼き付いている。5月26日のソフトバンク戦(ZOZOマリンスタジアム)で三塁線に絶妙なセーフティーバントを転がし、50メートル5秒台の俊足で弾丸のようなヘッドスライディングを見せ、ナインを鼓舞した。1死満塁から荻野が左飛に倒れ悔しさをにじませると、続く岡が押し出しの死球を受け、雄たけびを上げながら何度もガッツポーズ。ブルペンデーで小刻みなリレーで奮闘する投手陣の踏ん張りに、野手陣が援護し、首位ソフトバンクを3タテしてチームは連勝街道を突き進んでいった。

 シーズンはまだまだ序盤だが、4番・石川の押し出しの四球、そして“魂の雄たけび”は、最下位からの逆襲をもくろむチームに、一番必要なものかもしれない。(デイリースポーツ・開出牧)

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