大相撲の業師宇良は“土俵際の魔術師”だ!

“土俵際の魔術師”だ。土俵から押し出されながらも錦木(右)の動きを冷静に見て叩き込みを狙う宇良=11日、両国国技館(撮影・開出牧)
錦木(手前)に押し出しで敗れたが、土俵際の粘りで場内を沸かせ、不敵な笑みを浮かべる宇良=11日、両国国技館(撮影・開出牧)
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 “魔術師”のようだった。大相撲の幕内宇良(30)=木瀬=だ。

 11日、大相撲九月場所初日(両国国技館)は、錦木に押し出しで敗れたが、物言いがつくのではないかと思わせる土俵際の“業”で沸かせた。

 立ち会いからすぐに錦木の後頭部に左手をかけ、叩き込みを狙ったが、錦木に懐にもぐりこまれ、低い姿勢から一気に押し出された。歓声と悲鳴が響く中、行司の軍配は錦木に上がったが、「物言い」という観客の声が飛び交った。私も連続シャッターを切りながら、ファインダー越しに宇良の足が先か、錦木の手が先か、分からなかった。

 撮影データを確認すると、徳俵に右足をかけながら土俵の外に出た左足を宙に浮かせ、錦木の左手がつくタイミングを早めるために後頭部を押さえ込んでいた。

 かつて“ロープ際の魔術師”と形容された外国人ボクサーがいたが、ロープ際に追い込まれながらもカウンターで一発逆転を狙うボクサーのごとく、土俵から押し出されながらも、錦木の動きを冷静に見て“業”を繰り出す宇良のすごさを写真に捉えることができた。

 土俵から引き揚げる時に不敵な笑みを浮かべていた“土俵際の魔術師”は、観客を魅了した勝者のようだった。今場所も大いに沸かせてくれるにちがいない。敵は、もはやケガだけかもしれない。(デイリースポーツ・開出牧)

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