【野球】広島・辰見 今季5の5盗塁成功率100%3つの秘訣 赤松コーチ証言「スピードに乗るのが早い」
広島・辰見鴻之介内野手(25)が、大盛と並びチームトップタイの5盗塁を決めている。5度試み、成功率は100%を誇る。昨年の現役ドラフトで加入したスピードスターは、勝負どころの切り札として欠かせない存在だ。盗塁技術など成功の秘訣を探った。(数字は27日現在)
辰見が開幕から足で存在感を示している。4日・阪神戦(マツダ)の八回、中前打を放ったモンテロの代走で出場すると二盗に成功。25日・阪神戦(甲子園)でも足で二塁を奪った。開幕から5度スタートを切り、その全てで任務を全う。成功率は100%を誇る。
成功のカギを分析すると「加速力」「ヘッドスライディング」「拡大ベースによる帰塁への安心感」が見えてくる。
まずは「加速力」。辰見は塁間での加速が極めてスムーズだ。現役時代、盗塁のスペシャリストとして活躍した赤松外野守備走塁コーチは「スピードに乗るのが早い。すごいバネがあるんだと思う」と証言する。辰見は自身のスタートについて「まだ、あまり反応は良くない」という。それでいてこの成功率。一歩目の瞬発力に依存することなく、驚異的な伸びでグングン加速していくことが大きな特長だ。
「ヘッドスライディング」は、背番号69の代名詞となりつつある。5盗塁全て頭から滑り込んでいる。楽天時代、ヘッドスライディングは禁止されていた。広島移籍後、春季キャンプから取り組み始めた。足からのスライディングでは足や胴体などに相手のタッチを受けることになるが、ヘッドスライディングは腕から滑り込むため、ベース手前で左手を引いたりすることで、タッチをかわすことができる。
「タッチの避けやすさがある。足から滑ると、どうしてもタッチまでの距離が近くなる」と辰見。肩や指などのケガのリスクを伴うが、「今は本能のままにいっています」と、“攻めの盗塁”を貫いている。
さらに、今季から一辺が従来より約7・6センチ長くなった拡大ベースの採用が、メンタル面を後押ししている。帰塁への不安が減少したことで思い切ってスタートが切れるようになった。投手によっては「1足分、前に出られるケースもある。そこは全然違います」。コンマ数秒の差が成否を分けるだけに、大きなリードを取れることは成功率アップに直結する。
今後、他球団の警戒は強まってくるはずだ。赤松コーチは辰見のさらなる技術向上に取り組んでいく方針で「『ここはヘッドスライディングの方が速い』、『ここは足からの方が速い』。そういう判断をしっかり教えていきたい」と語る。
辰見は「最高の準備をして、試合に出たときに、それを出し切れているのが良いんじゃないかなと思います。自分の持っている力をチームが勝つために生かしたい」と闘志を燃やした。深刻な得点力不足に苦しんでいる今季のカープ。時には機動力を駆使した攻撃でチームに勢いをもたらすことも求められるだけに、この男の存在価値はより高まっている。
