【スポーツ】今年初場所で史上最多更新 懸賞支える呼び出し懸賞係の苦労 「2倍以上忙しく」 指定以外は係の裁量に

 懸賞を持って土俵をまわる呼び出しの大将(中央)=22日、エディオンアリーナ大阪
2枚

 霧島の優勝で幕を閉じた大相撲春場所。勝利後に力士が手刀を切って受け取る懸賞は、15日間の総数で2481本と地方場所の最多を更新した。読み上げる行司も大変だが、企業名、商品名が描かれた懸賞旗を土俵で掲げる呼び出しの負担も大きい。旗の運用を担当する呼び出し懸賞係を取材した。

 呼び出しの若手が担当する懸賞係は4人。三段目格の大将(ひろまさ、28)=山響=は担当歴8年、同じく広(29)=玉ノ井=は7年。序二段格の健太(23)=鳴戸=は2年、天琉(たける、21)=朝日山=は1年。大将は担当開始時と比べ「2倍以上は忙しくなった」と話した。

 作業場は西花道の西側、升席下のスペース。土俵を回る呼び出しに「持ち帰り」「順番指定」「色指定」など注意点を伝えて懸賞旗を渡す。受け取った「持ち帰り」は再びセットし、結びまで作業が続く。

 「持ち帰り」とは懸賞主が複数の取組に懸け、同じ旗を次の取組に“再利用”すること。登場後は花道の向正面側の回収担当者に渡さず、懸賞係に戻される。「順番指定」は永谷園のお茶漬け(味ひとすじ→さけ→梅→たらこ)のように出番順が決まっているもの。「色指定」は永谷園、大東建託のように、同じ懸賞主の商品・サービスに応じて旗のデザインが異なるものを指す。

 懸賞係の朝は早い。序ノ口の取組開始前、若手の呼び出し、協会職員と前日に回収された旗を西の花道に並べ、結びから逆順に取組ごと仕分けする。一本の旗を広げ、2本目以降を丸めて旗の上に置く。全てそろったら広げた旗を閉じてワンセットが完成する。この時点では結びは総数の5~8割程度なのは、残りが「持ち帰り」だからだ。

 「持ち帰り」かつ「順番指定」「色指定」の場合は神経を使う。結び前→結びなど間隔が短い場合はスピードが求められる。懸賞掲示が2周以上の場合は1周8~12本が目安。例えば結び48本を10人で4周し8人で5周目を回すか、8人で6周するか、また、指定以外の旗の登場順は、係の裁量に任される。

 懸賞の多い取組は各周ごとに8~12本を先に準備する。「持ち帰り」に関しては「早く処理したい」と1周目に再セットする者、「少し後の方がいい」と3周目に再セットするなど人それぞれ。土俵を回る呼び出しは若手中心だが、特に決まりはない。係は指示役に徹する者、「頼む人を少なくしたい」と自ら“出動”する者もいる。

 経験の浅い健太、天琉は取組表の懸賞部分を拡大した紙、周回が必要な取組は順番、任せる呼び出しを記したメモを作業場に貼る。健太は「旗を自分で巻き直します。確認と取り出しをやりやすいように」と話し、天琉は「メモを見て常に確認します」と工夫する。

 大将、広は確認用の紙を貼らず、手元の取組表に印をつけるだけ。大将は「誰に渡すか、持ち帰りの対応も全部頭に入っています。何回も読み合わせて確認が大事」と話し、広は「間違えないよう、常にイメージして作業します」と語る。

 懸賞上限は原則60本、同じ提供元からは5本。年間総数は2015年は9842本。20年はコロナ禍による1場所中止が響き6095本、翌21年は7303本。昨年は過去最多1万4979本。各種指定のある懸賞も増えている。

 春場所は千秋楽の215本が最多だった。なお、今年初場所は一場所史上最多の総数3355本、初日が最多258本で「全く相撲を見ることができない。作業が追いつかない」と話す者も。協会の懸賞担当は「運用は全て呼び出しに任せています。大変でしょうが感謝しています」と話した。大将は「協会の大事な仕事ですから。しっかりと役割を果たしたい」と語っていた。(デイリースポーツ・山本鋼平)

 ◆懸賞 幕内で希望の取組、応援する力士の取組に懸ける。1本7万円(力士に6万円、手数料1万円)で、1場所最低1本を15日間懸けることが必要。懸賞旗(横70センチ、縦120センチ)と行司が読み上げる文言(15字以内)は懸賞主が用意する。旗のデザインは制作前に日本相撲協会が可否をチェックする。取組の上限は60本(東京場所の「森永賞」などは例外)。今年春場所の個人申し込みでは宇良の218本がトップだった

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス