【野球】DeNAの秀才右腕・橋本人生の転機は長田高時代に AO入試で慶大に進学 身につけた“考える力”

 デイリースポーツ記者が独自目線で注目した人物、スポーツなどを掘り下げる新企画「クローズアップ」(随時掲載)。今回は初の開幕1軍に向けて泥くさく奮闘する秀才右腕、DeNA・橋本達弥投手(25)を取り上げる。兵庫県屈指の進学校・長田高出身で、慶大を経てプロ入りした4年目右腕。人生の転機となった高校時代が、現在の野球人としての生き方の礎となっている。

 まるでカーブと見まがうほどの落差の大きなフォーク。唯一無二の武器を操る秀才右腕は、初の開幕1軍入りを懸け、オープン戦最終カードに臨んでいる。偏差値70を超える兵庫県下屈指の公立進学校、長田高から初のプロ野球選手となった橋本。その稀有(けう)なキャリアは、自身の野球人としての引き出しの礎となっている。

 高校入学当初、橋本にとって野球は部活動の一環に過ぎなかった。難関大を志望することが当然の環境で「建築士や飛行機とか物を作る仕事をしたいなと思って、理系の大学に進む気でいた」。しかし、1年の冬、内野手から投手に転向すると、その素材とセンス、優れた野球観を見初めた当時の西岡大輔部長から「プロを目指した方がいい」と勧められた。

 「『勉強をやりなさい』と言われる学校なのに、そう言われたことがすごく新鮮で」。プロ野球選手-。これまでも漠然とした憧れはあったが、現実的な進路として目標を定め始めた。「勉強は後からでもできる」と、大学を経由せず高卒でのプロ入りをギリギリまで悩んだという。

 周囲から大学は出ておいた方がいいとの助言を受け、受験を決意。強豪の青学大や筑波大などを候補に一般受験での準備を進め、可能性を広げるために私大の推薦も模索した。その一つが慶大のAO入試。志望した環境情報学部では教授3人との面接が行われ、大学での研究計画についてプレゼンを実施した。「教科試験ではないのでAO入試は簡単と言う人もいるが、この経験が社会人になって強みになっている。ひらめいたものを突き詰めるところは、今でも役立っている」。

 独自の問題意識を持ち、構想を言語化。「心が動揺すると目がうつろになったり、目に動揺が出たりする人がいる。その発想を逆転させて、視線をずっと安定させるとメンタルも安定するんじゃないか、眼球運動を利用してメンタルをコントロールするという、僕自身の考えたテーマを言わせてもらった」。無事に合格を勝ち取り、自らを現在地へと導いた。

 考え、向き合い、全てを学習に替える力。現在も自身の生命線となっているフォークもそうだ。「打撃マシンで練習できないボールは何だろうと考えた時に、フォークだった」。高校時代、最も有効だと思い、自分が生きていく道として幾通りもの握りを編み出した。3年夏の兵庫大会・準々決勝で、報徳学園・小園(現広島)を宝刀フォークで三振に斬ったのは有名な話だ。

 数々の困難も克服してきた不屈の右腕。慶大入学直前に国指定の難病「IgA腎症」を患い、一時は医師から野球をあきらめることも勧告された。プロの世界に身を投じてからも、一昨年に右肩を痛めて手術。リハビリに専念するため、一度は育成契約を結んだ。昨季7月に支配下枠に復帰し、同8月に待望の1軍デビュー。それを支えたのも、思考の引き出しの多さと実践、行動する力があったからこそだ。

 進学校からの挑戦。病を克服し、けがをも乗り越えた。「誰かのためになれたら」。中継ぎの一角として食い込むべく勝負の1年となる今季。モチベーションとなるのはそんな強い思いだ。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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