【スポーツ】応援じゃないチアリーディング「競技チア」って? 2分30秒の世界に人間ドラマ凝縮 強豪・帝京大チアリーディング部監督が語る魅力
「チアリーダー」と聞くと、アメフトや野球などスポーツでの応援姿を思い浮かべる人が多いだろう。実は応援が目的ではない「チアリーディング」が存在することをご存じだろうか。「競技チア」と呼ばれるスポーツ競技だ。その世界で強豪チームの一つである帝京大チアリーディング部「BUFFALOS(バッファローズ)」。創部25周年を迎えたチームを率いる岩野華奈監督(48)の取材を通じて見えたチアの魅力に迫った。
チアリーディングには「応援チア」と「競技チア」が存在する。応援チアはその名の通りスポーツなどを応援する。競技チアはチアダンスとチアリーディングに分かれ、チアダンスはダンスの技を競う。チアリーディングは複数の選手で組み体操のようなピラミッドの形を作り、一番上に乗る選手を下にいる選手が持ち上げたり、空中に飛ばしたりといったアクロバティックな技が特徴だ。
記者は大学時代に競技チアの全国大会に出場した経験があり、全国トップレベルの技術の高さを目の当たりにした。選手の一挙手一投足がそろい、ピラミッドが崩れることなく、一番上の選手が豪快に高く宙に舞い、しっかりと下の選手がキャッチする。声の大きさを含めた総合力、チームの一体感で圧倒する。そんなトップレベルのチームの一つが帝京大チアリーディング部「BUFFALOS」だ。
今年創部25年ながら全国屈指の強豪チーム。日本チアリーディング協会が主催する国内最大のチアリーディング全国大会「JAPAN CUP」での優勝経験もあり、昨年は地区予選の関東大会で優勝。JAPAN CUPは3位となったが、毎年のようにV候補に挙がる。
岩野監督は創部3年目からコーチとして携わり、2007年から監督に就任。22年には関東大会、JAPAN CUP、全日本大学選手権のシーズン3冠へと導いた。自身は筑波大チア部出身で、現役時代に指導者資格を取得。長年の経験を経て、チアの魅力を「自分の思いとか表情とかを見てもらって、人を元気づけられること」と話す。
その上で、BUFFALOSは「かわいらしいより力強い、タフって感じのチーム。チームを離れても一人一人がすごく“いいチアリーダー”を理想としているし、そういう人が多い」と語る。
選手の誰もが目指す「いいチアリーダー」とは、何事にも常に全力で元気に取り組み、仲間を思いやり、笑顔で相手を元気づける「利他愛」の精神の持ち主。練習で技のレベルを上げることはもちろん、人間力を磨き上げることこそが、チームの強さにつながっているというわけだ。
チアの大会では自チームだけでなく、他チームの演技も応援する。他の競技で敵を応援することはないため、初めて観戦する人からすれば異様な光景かもしれない。相手の成功を祈ることも人間力の向上につながる。
ピラミッドの一番上に乗る選手は、技によっては5メートルほどの高さから空中に飛び上がり、下にいる選手にキャッチされる。失敗すれば上も下も大けがをする可能性がある。お互いを信じ合うことが、より良い演技につながる。大会の演技時間はたった2分30秒。一瞬の輝きに努力と覚悟、数々の人間ドラマが凝縮されている。
将来的には五輪競技になる可能性もあると言われるチアリーディング。競技経験者として、その魅力をこれからも発信していきたい。(デイリースポーツ・和泉 玲香)
◆チアリーディング競技大会 人を乗せたり飛ばしたりするスタンツとタンブリングやジャンプといったアクロバティックな技と、ダンスと表現力を組み合わせた約2分30秒の演技を16人ほどのチームで披露し、完成度や技の難易度などを競う。採点の中には元気良さ、美しさ、協調性、シンクロ率、笑顔などの評価も含まれる。





