【スポーツ】シニア1年目・中井亜美 快進撃の原動力は憧れの存在「ずっとまねをしている感じ」大先輩の背中追う
フィギュアスケートの女子でミラノ・コルティナ五輪代表を目指す中井亜美(17)=TOKIOインカラミ=が、シニア1年目で快進撃を続けている。10月に行われたGPシリーズ開幕戦のフランス大会で初出場優勝すると、シリーズ上位6人のみによる今月のファイナルにも出場。日本勢トップの銀メダルで鮮烈な印象を残した。中井の原動力は、スケートを始めたきっかけにもなった2010年バンクーバー五輪銀メダリストの浅田真央さん(35)の存在だった。
シニアデビュー1年目。中井はGPフランス大会で紀平梨花、渡辺倫果に次ぐ日本女子3人目のGP初出場優勝を果たすと、11月の第3戦カナダ大会では3位に入り表彰台を死守。ファイナルでも強心臓ぶりを発揮し、坂本花織らを抑えて日本勢トップの全体2位に食い込んだ。破竹の勢いで成長を続ける新星。原点は浅田さんの存在だった。
5歳の時にテレビで見た浅田さんの演技に魅了されたことがきっかけで、フィギュアスケートを始めた。自身の大きな武器としている大技トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も、もちろん浅田さんが見本。「ずっとまねをしている感じ」と大先輩の背中を追い、世界を相手に戦うところまできた。
ファイナルではフリー当日の6分間練習で、浅田さんが会場に来ていることを知った。「6分間練習で真央ちゃんの名前がコールされて知った。(練習後)裏にはけた後に『真央ちゃん来てるんだけど!何で何で!』って、ずっと(コーチの中庭)先生に言っていた」と大興奮。演技前には「真央ちゃんがいるから頑張る」と中庭コーチに伝え、リンクに立った。
見せたかったのは冒頭に組み込んだトリプルアクセル。「本調子ではなかった」というが、緊張にのみ込まれることなく完璧に着氷した。「真央ちゃんがいるって知って本当にうれしかったし、真央ちゃんの前で演技できるということが幸せ。その前でトリプルアクセルを跳べるっていうのは夢みたい」。憧れの存在が大きな後押しとなった。
2位になり「本当にびっくりしている」と演技後は実感が湧かなかった。ただ「夢から目標に変わってきている」という五輪の舞台は、すぐそこまできている。「近づき過ぎなくらい、近づいてきている」と、驚きを隠せないのも正直な気持ちではあるが、ここまで来れば「(代表を)つかみたい気持ちはもちろんある」と、目線は五輪に向きつつある。
19日から東京・国立代々木競技場で五輪代表最終選考会の全日本選手権が行われる。優勝すれば五輪切符を獲得できる大一番。「目の前まで来ている。プレッシャーに変わることも多いと思うが、自分の今できるベストを尽くして、運が良ければオリンピックにいきたい」。17歳が大舞台へ向かう。(デイリースポーツ・南香穂)
◆中井 亜美(なかい・あみ)2008年4月27日、新潟県出身。浅田真央さんに憧れて5歳で競技を始め、21年に千葉県に拠点を移し、中庭健介コーチの指導で成長。千葉・南行徳中2年で出場した22年全日本選手権は4位。23年世界ジュニア選手権は3位。シニア本格参戦の今季GP開幕戦で初出場優勝を果たした。ファイナルで日本勢トップの銀メダル。通信制の勇志国際高千葉2年。150センチ。





