【野球】「伊勢大明神」ことDeNA・伊勢「目立たないけど」 阪神・石井とのリリーバー同士の絆とは?48戦連続無失点記録に刺激
巨人と激しい2位争いを演じるDeNAには、「伊勢大明神」こと伊勢大夢投手(27)が仁王立ちする。開幕から抑えを務めた入江の不調で、9月7日のヤクルト戦から守護神の座を担っている。プロ1年目からリリーフを担い続け、時には回またぎも辞さないタフネス右腕。プロ野球記録の48戦連続無失点記録を継続する同学年の阪神・石井に刺激を受け、自らのパフォーマンスもメキメキと高まっている。
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入団以来、ハマのブルペンを支えてきた。今年は先発転向を志願したものの、チーム事情でリリーフに専念。昨季まで5年間で計238試合に登板、100ホールド、3セーブをマークし、中継ぎとしてさまざまな窮地を乗り越えてきた。勝負の命運を託されるクローザーは重圧がかかる立場だが、気負いはない。
むしろ「大変なのは八回。九回だったら、3点差だったら2点まで取られていいというのがあるけど、八回ってやっぱり点を取られちゃいけない雰囲気がある」と話す。「目立たないけど、僕は七回、八回の方が大事だと思っています。阪神には石井、巨人は大勢だったり、八回にはいい投手がいますし」。プレッシャーと戦うセットアッパーの献身あっての九回。だからこそ全力で腕を振り試合を守る。それが伊勢の哲学だ。
刺激を受けるライバルがいる。先のコメントで名前が挙がった石井だ。同い年で、今年7月のオールスターで意気投合。阪神戦の試合前練習では、野球談議に花を咲かせている。
「試合では負けないように頑張るけど、心の中ではお互いに尊敬している間柄。石井も、僕がずっと毎年投げていることに関して『すげえな』と言ってくれる」。毎試合ブルペンで準備を重ね、体力と神経をすり減らすリリーバー同士。「敵ではありますけど、ケガはしてほしくないし、僕もケガしないようにしているし」と、互いに疲労の克服方法を情報交換するなど、絆を強めているという。
石井の前人未到の大記録更新で、救援という稼業にスポットが当たることを誰よりも誇らしく感じている。「石井は今、中継ぎの中で一番目立っている選手。中継ぎはああやってしか目立てないんだってことは分かってはいましたけど、20試合以上を無失点でいけること自体、厳しいです。それが40試合超えるなんて本当にすごいこと」。その数字の重みは、同じポジションを味わった者にしか分からない領域だ。「50、60と続けられると僕らが抜ける記録じゃなくなってくるので、そろそろ…なんて思ってますけど」と笑いを交えながら「本人も感じていると思うけど、たぶん一生に一度できるかできないかの記録。敵ながら応援しつつ、僕も一緒に頑張りたいと思っています」と力を込めた。
今はチームの2位確保と、その先のCSに目を向ける。リリーフの出来が大きく左右する短期決戦。ファーストステージを突破し、甲子園での石井との“共闘”を思い描いている。(デイリースポーツ・福岡香奈)





