【サッカー】森保監督がコーチ陣にも厳しいワケ さらなる高みへ要求値も世界一基準 互いに信頼し「自分たちは監督の代弁者」
2026年6月11日に開幕するサッカーのW杯北中米大会まで約9カ月。悲願のW杯制覇に向けて森保一監督(57)率いる日本代表は米国遠征中で、6日(日本時間7日)には格上のメキシコ相手に0-0の引き分けと善戦。チーム力の積み上げに手応えをつかんだ。その背景には明確な分業制が敷かれているコーチ陣の支えも欠かせない。このほど取材に応じたコーチングスタッフらが森保監督から求められる厳しい基準と、そこに至る理由を明かした。
森保監督は前回のW杯カタール大会の予選以降、マネジメント方針を変更。選手に全てを指導する“ヘッドコーチ型”から、徐々に適材適所でコーチに任せるようになり、W杯終了後には完全分業制になった。その上で、第1次森保政権を知る下田崇GKコーチは、第2次政権での要求値の高さについてこう語る。
「細かいところをよりはっきりと厳しく、自分たちが甘えることなく、と。(第2次から)世界一が目標なので、“これじゃダメ”っていう基準がはっきりしている。そこが変わった」
目標が世界一に変わったことで、コーチ陣への要求値も世界一基準に。その意識の高さは、しっかりと浸透している。23年1月に入閣した名波浩コーチは、今回の米国遠征前までの活動を「僕自身がポンコツなのが一番印象に残っている」と振り返った。冗談っぽい回答に苦笑いを浮かべる記者もいたが「笑いごとじゃないです」と強調。W杯アジア最終予選では10試合で30得点と、C組で圧倒的な数字を残したにもかかわらずだ。
満足よりも反省が前に出る。同予選第8、9戦では2試合連続無得点。「点が取れない試合や攻撃が流暢(りゅうちょう)にいかないときは、全て僕の責任だと思う。監督に任されている仕事を全うしているかどうかで言ったら“ポンコツ”」と説明した。
ハードルが高くなる理由は森保監督が信頼を寄せる集団だから。守備面を担当する斎藤俊秀コーチは「自分たちは監督の代弁者」と理解度に自信を見せ、下田コーチも「監督からの厳しいジャッジは、信頼してもらっているからこそなのかな」とうなずく。2人に加え、松本良一フィジカルコーチも第1次からの腹心。第2次からの名波コーチ、セットプレー担当の前田遼一コーチには指揮官が電話で直々にオファー。長谷部誠コーチも指揮官による強い要望で入閣が決まった。
「われわれには信頼できる力を持ったスタッフがいる。各スタッフが自分の責任から選手、チームを成長させている」(森保監督)
本気で世界一を目指すからこそ、選手以外の誰ひとりも妥協はしない。日の丸を背負うものとして、全員で最高の景色を目指していく。(デイリースポーツ・松田和城)





