【芸能】ついにメジャー1stアルバムリリースのLittle Black Dress 追求する歌謡ロックの魅力は「人間であることを尊く感じられる」詞と「日本人心にグッとくる」曲
シンガー・ソングライターの遼(26)によるソロプロジェクト「Little Black Dress」(以下LBD)が先月、メジャー1stアルバム「AVANTGARDE」をリリースした。歌謡ロックを追求し、独自の音楽世界を繰り広げるLBDの人物像に迫った。(デイリースポーツ・藤澤浩之)
◇ ◇
今作がメジャー1stアルバム、メジャー初のフィジカル作品なのが意外なほど、LBDの存在感はJ-POPの世界で高まっている。
FUJI ROCK FESTIVALやSWEET LOVE SHOWERといった大型フェスや、日本テレビ「THE MUSIC DAY」、TBS「音楽の日」「CDTVライブ!ライブ!」、NHK総合「うたコン」といった地上波キー局の音楽番組に出演するなど、活躍は既にメジャー級だからだ。
そんなLBDは、メジャー初のフィジカル作品を「音楽をCDショップで買って車の中で聴くという環境で育った。地元では家族とかはそういう音楽の聴き方をしているから、そういう人たちに届けられる喜びはすごい大きい。おばあちゃんは『やっぱり車の中で聴きたい』と言うから、ようやくという感じです」と素直に喜んだ。
岡山出身で、祖母の運転する車中で聴いた昭和歌謡が音楽のルーツ。寺尾聰「ルビーの指輪」、フォーク・クルセダーズ「帰ってきたヨッパライ」、チューリップ「心の旅」、甲斐バンド…。LBDは「みんながアンパンマンの曲を聴いて育つように、私は歌謡曲を聴いて育った」と言う。
音楽を志すと高校に入ってギターを入手し、ライブハウスのオーナーから曲を書くように勧められた。「挑戦してみて、あ、楽しいかも、書けちゃったかもって思って、そこからですね」。オーディションにデモテープを送ると通過し、高3で上京した。
「(親は)2週間口をきいてくれませんでした。とにかく反対されまくりました」と苦笑。飲食店のアルバイトを二つ掛け持ちしてやりくりした。バイト経験は今作に収録された楽曲「PLAY GIRL」に生かされている。
半年後にMISIAの前座というチャンスをつかみ、インディーズデビューした2019年には音楽一本で生活できるようになっていた。Little Black Dressの名付け親は、多くのアーティストの名作ジャケットなどを手がけたアートディレクターの信藤三雄さん。MISIAの前座を初めて務めた際に、一張羅の黒いワンピース姿のLBDを見て命名した。
2021年にポニーキャニオンから配信シングルでメジャーデビューし、昨年、キングレコードと契約した。現状を「ようやくメジャー1stアルバムでスタートラインに立てたかなぐらい」ととらえている。
2021年にインディーズ1stアルバム「浮世歌」をリリースしたものの、コロナ禍が直撃。「ライブができないのがしんどかった。知ってもらう場がないのがキツかった。テレビも最初の頃は収録も活発じゃなかったし、ラジオもリモートだったりして。普通の活動をできていなかった」と苦しんだ。それだけに「ようやく自分が全部整った状態で始められるのがこのアルバムなのかな」と感慨がにじむ。
タイトルの「AVANTGARDE」に込めた意図を、LBDは「もともとある表現としての言葉としては『時代を写すもの』。歌謡曲も時代を写す歌ということで、このアルバムだったり曲を、10年20年30年と活動して振り返った時に、こういう時代だったなとか、こういうことを考えていた時期だったなとか、こういう人たちと関わって作ったなとか、そういうことを思い起こせるアルバムにしました」と説明する。
リード曲「アヴァンギャルド」は、戦いに行くような、あるいは旅立つような楽曲で、メジャーでの1stアルバムにふさわしい印象だ。
「自由を求められている時代なのに、自由であると否定されたり縛られたりする。それってすごく切ない。だけどみんな、幸せになりたいっていう同じところを目指してるから、一緒に闘おうっていう曲を書きたかった」と狙いを、「(テーマとした)蝶は美しさとか変化とか自由の象徴なので、歩いても走っても前に進めなくなったら、羽ばたいて羽を伸ばして、本能のままに突き進め」と、メッセージを明かした。
テーマは歌謡ロックで「LBDにしかできないジャンルみたいなのが今回はできたかな」と手応えを感じている。楽曲の構成も王道の歌謡ロックで、それは「次の展開が予想できると聴いてて心地いいじゃないですか。その感覚は自分が昭和歌謡を聴いてる時にあるので、うわーここでサックスソロー!、来た来たー!みたいな、そういう感覚が自分の作品にもあってほしい」と意図したものだ。
歌謡ロックの魅力を「人間であることを尊く感じられる歌詞。今は少なくなったドロッとした人間模様だったり人間臭さだったりを感じられるリリックを聴いていると、挫折しそうになっても、ああ生きてて良かった、面白いかもって思えるところと、ベースが洋楽にありつつもキャッチーで日本人心にグッとくるような、いい意味でのダサさがあるところ」だと分析する。
影響を受けたアーティスト、好きなアーティストを聞くと、中島みゆき、竹内まりや、ちあきなおみ、沢田研二、アン・ルイス、阿久悠さんの名を挙げ、「いろんな方のいろんなところに影響を受けています」。ファッションやメイクなどは沢田研二の影響が大きいという。
LBDは「コロナだったり災害だったり戦争だったりが起きる時代に活動させてもらっているので、宿命を感じて」おり、「時代を映し出せるような曲を書いていきたい」という。目指すは「音楽の力で皆さんに寄り添っていけるようなアーティスト」だ。





