【野球】阪神・石井 ファビアンK斬り「楽しかった」その言葉の真意 9日の八回2死三塁ピンチ切り抜けた舞台裏

 阪神の石井大智投手(27)は現在29試合連続無失点で、防御率0・28と抜群の安定感を誇る。9日の広島戦(マツダ)では2点リードの八回に2死三塁としたが、その時点で首位打者だったファビアンを空振り三振に仕留めた。試合後には「言葉が適切か分からないけど、楽しかった」と振り返っている。その言葉の真意と、しびれる勝負の舞台裏を明かした。

  ◇  ◇

 八回2死三塁。打席には首位打者のファビアン。広島のチャンスに敵地のボルテージが上がる中、石井は冷静だった。2点リードでも、1点も与えるつもりはなかった。

 組み立ては外角中心だった。初球の外角直球はボール。その後も2球連続で外角寄りの直球を続けてファウルを打たせ、3球でカウント1-2とした。

 4球目は外角低めのスライダーがボールとなって、カウント2-2。右腕はどこで内角を使うかを考えていた。

 ここで捕手の坂本に、内角へ投げたいとアイコンタクトを送った。もちろんサインは内角への直球。しかし、うなずくまでの間に頭を整理。「まだいくタイミングじゃないと思ったんです」と、とっさに首を横に振った。選択したのは外角への真っすぐ。5、6球目はともにファウルにされたが、納得していた。

 そして7球目に内角直球を選択。結果はボールでフルカウントになったが「しっかり投げ切れた」と、この球が生きることになる。8球目に外角低めの直球をファウルとされた後、9球目の外角低めへのフォークで空振り三振。試合後に「楽しかった」と話した理由について、「最大限工夫して、最高の球で三振が取れたので」と説明した。

 捕手とのコミュニケーションを大事にするが「自分の考えに責任を持ちたい」と配球は自らで考える。これまでは早いカウントで内角に突っ込むケースもあったが、多くの経験値を元に「我慢」の必要性も感じていた。その「我慢」が結果に結びついたケースだった。

 空白の1カ月を無駄にしなかった。6月6日のオリックス戦(甲子園)で頭部に打球を受け「脳振とう」の診断。離脱を余儀なくされた。ただ、この期間で開幕から納得していなかった直球の質を見直すため、体の重心の位置を変えた。

 「感覚が良くなって今までよりも力が伝わった真っすぐが投げられている」と手応えをつかんだ。奪三振率は6・89と高くはないが「狙って三振が取れるようになった」と話す。アクシデントもありながらも、石井は心技体と充実のシーズンを送っている。(デイリースポーツ・滋野 航太)

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