【野球】セ・リーグ史上初 2割台首位打者の可能性 岡田彰布顧問も「3割いかない首位打者ありますよ」例年とは違う傾向に
6月に入り、セ・リーグの首位打者争いが異常事態になっている。トップの広島・ファビアンは打率・306で、唯一の3割台。2位以下は全員が2割台となる一方、セ・リーグの規定投球回到達者の防御率1点台は9人。過去のシーズンを見ても投高打低が顕著になっている。
2リーグ分立後、3割以下でセ・リーグの首位打者に立った選手はいない。最も低い打率の首位打者は1967年に広島・森永がマークした・307だ。昨年の首位打者、DeNA・オースティンは・316だった。
直近3年の成績をひもとくと、昨年の同日は3割打者が3人でトップのヤクルト・サンタナが・316。2023年はDeNA・宮崎が打率・386をマークし、4割打者誕生かとも注目された。当時は3割打者が10人。2022年も牧が打率・331をマークし、3割オーバーは計4人だった。
今季は現状、規定打席到達未満の選手でも3割に近い選手はいない。甲子園球場で行われた阪神-オリックス戦で解説を務めた阪神・岡田彰布オーナー付顧問も「これはしかし、今年3割いかない首位打者ありますよ」と指摘した。
過去、現場で取材していた時に選手たちから打率を上げる要因を聞いたことがあった。「梅雨時期に入って投手の調子が落ちてくる5月末から6月にかけて打者が頑張らないといけない」。例年はゴールデンウイーク明けからスイングを固めた打者の状態が上がっていく傾向が強かったが、今年は逆にピッチャーの力が継続している形になっている。
また「先発投手を早くマウンドから降ろして、力が落ちるリリーフピッチャーから打つことで調子を上げていく」という証言もあった。だが今季の数字をひもとくと、各球団、先発投手とリリーフ投手の防御率にほぼ差が無い。首位を走る阪神は7日終了時で先発防御率2・26に対し、救援防御率は1・66とリリーフ優位の数字になっている。
他球団を見ても
【DeNA】先発防御率=2・25、救援防御率=2・61
【広島】先発防御率=2・45、救援防御率=2・56
【巨人】先発防御率=2・58、救援防御率=2・85
【中日】先発防御率=3・12、救援防御率=2・68
【ヤクルト】先発防御率=3・72、救援防御率=3・41
(数字はいずれも7日終了時)
つまり先発投手をマウンドから引きずりおろしても、同等か、逆に抑え込まれているデータが出ている。
今季は開幕から巨人・岡本和真やヤクルト・村上など主力打者に故障者が続出していることも、投手が有利になる状況に拍車をかけていることも否めない。
今後、焦点となってくるのは暑さが増し、投手の体力が奪われる7月&8月。特にオールスター明けは暑さに加え6連戦が続いていくだけに、「夏場は打線が強いチームが有利」というペナントレースの格言もある。投手有利のままシーズンが進むのか、それとも打者が巻き返していくのか。ペナントの行方をにらむ指標の一つにもなりそうだ。(デイリースポーツ・重松健三)