【野球】楽天・藤平の「10日間」 悪夢断ち切りリスタート 守備のミスで2軍降格→原点回帰で復活ロード

 楽天の藤平尚真投手(26)が29日の西武戦(ベルーナ)で、3点リードの九回を1回1安打無失点で、4月26日・ソフトバンク戦以来となる3セーブ目を挙げた。プレー中にボールから目を切って敗戦した悪夢のような夜から約1カ月。2軍再調整を経て戻った舞台で、見せたのは原点回帰の復活ロードだ。三木監督との絆がつないだ10日間に迫る。

 同じ球場、同じシチュエーションで送り出された。九回、藤平がベルーナドームのマウンドに向かうのは「あの日」以来だ。「頭によぎったりはしてないですけど、本当にこの間と同じような場面で使ってもらえたんで」。悪夢を断ち切る、リスタートのマウンドだったのかもしれない。

 今季3セーブ目は特別な意味を持っていた。5月1日の西武戦。藤平はイニングまたぎで延長十回もマウンドへ。無死二塁から右前打を浴び、本塁のカバーへ向かう際に、ボールから目を切ってしまう。中継プレーが乱れ、右翼からの送球が三塁ベンチ前に転がったが、藤平は見ていなかった。痛恨のミスでサヨナラ負けを喫した。

 翌2日に2軍へ降格。三木監督に呼ばれ、「とにかくいい時間を過ごしてこい」と背中を押された。見つめ直す時間が始まった。まずは映像で問題のプレーを何度も確認。「どういうことが起きていたのか。カバーの位置、走っていく方向。これからああいう場面がきたら、こうやって動く」というシミュレーションを繰り返しながら、気持ちを整理した。

 また1軍とは異なる時間軸で生活をする中で、早朝から貪欲に練習へ向かう若手選手らに刺激を受けた。「自分もこれまでうまくいってきた選手ではないので。こういう気持ちでやっていたな、と。思い出せたこともありましたね」と、がむしゃらだった頃の原点回帰で復活ロードを見た。

 「ずっと1軍に上がりたくて投げていた時期もありましたし、2軍でもコントロールがよくなくて試合で投げさせてもらえない時間も長くあったので。そこを原点としたら、落ち込んでいる場合ではなかったですね」

 三木監督は、2軍監督時代から見てきたからこその親心をのぞかせた。「責任感を持っているからこそ、ああいう落とし穴があったかもしれない」とし、「あのプレーに関しては実際に起きたわけで、ああいうことは2度としてはダメだと思うからね。今後プレーヤーとしてやる期間は一生忘れないでやってもらいたい」とエールを送った。

 その後は最短で昇格。三木監督との絆がつないだ10日間だ。29日の西武戦、同じような場面で藤平をマウンドに送った三木監督の真意は分からない。だが、藤平は言う。「何としてもゼロで帰ってきたいなと。そこだけ考えて投げました。中継ぎの中で一番大事な場面で投げさせてもらえたことに、本当に感謝したいです」。リスタートのセーブだった。(デイリースポーツ楽天担当・松井美里)

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