【野球】もしかしてプロ初安打?相手選手の一打にも気を配る人間性 阪神・大山悠輔らとDeNA・宮崎敏郎との共通点
「阪神1-2巨人」(27日、甲子園球場)
阪神の連勝が「6」で止まった一戦で、心が和らぐようなシーンがあった。
阪神が1点をリードしていた三回、巨人の先発・堀田が先頭で中前打を放ったのだが、なぜか捕球した近本から、最終的に一塁・大山の元へ白球が戻された。
通常であれば、ボールは捕球した近本から二塁・中野か、遊撃・小幡に返球される。そして、投手が新しい球を主審からもらうためにタイムがかかり、もう使われることのなくなった球は、一塁ベンチ前のボールボーイへと返されることが多い。
大山のところにボールが返されたのは、阪神サイドが堀田の一打がプロ初安打ではないのかと思ったことが理由と思われる。右腕はこれまで阪神戦に3度登板したことはあったのだが、阪神戦で打席に立つのは初めてだった。
実際のところ、堀田は2022年7月3日の広島戦で九里からプロ初安打となる中前打を放つなど、すでに3安打している。今季プロ6年目で、投手として通算31試合登板で5勝6敗、防御率4・32の数字を残しているが、阪神の選手がプロ初安打を放っていたことを知らなかったとしても無理はない。
大山が堀田に確認するような時間が流れた後、一塁ベンチ前のボールボーイに安打球は渡った。事実としては思い違いと思われるが、心が洗われた気がした。
思い出されるのは、昨年7月7日の阪神-DeNA戦。DeNAが4点をリードした五回無死一塁から、阪神の代打・野口がプロ初安打となる右前打を放ち、右翼・度会の失策も重なって三塁に到達した際、DeNA・宮崎が野口に向かって「初ヒット?おめでとう」と祝福するシーンがあった。
野口は後日、「本当にありがたかったです。あんな方から祝ってもらえるなんて。ああいうことを言ってくださって、すごくうれしかったですね」と振り返った。これが縁となり、今年1月8日から2週間、宮崎県内での合同自主トレ参加につながった。
全身全霊を傾け、ひたむきに勝利を目指す中、相手選手の一投一打に心配り、気遣いが見られるのもプロ野球の醍醐味のひとつ。火花散る真剣勝負とは別の趣がある。(デイリースポーツ・鈴木健一)



