【野球】なぜ阪神・藤川監督は井上広大をわずか1試合の出場で2軍降格にしたのか 「モチベーションが心配。打撃も小さくなる恐れがある」と評論家

 4回、二盗を決める井上(1日)
 4回、振り逃げで出塁した井上(捕手は山本)=撮影・中田匡峻
 1軍登録された井上は打撃練習をする(撮影・中田匡峻)
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 「阪神2-5DeNA」(3日、京セラドーム大阪)

 阪神は佐藤輝の同点弾もむなしく、ゲラが2試合連続の乱調。引き分けを挟んでの3連敗となり、ホーム開幕カードは勝ち星なしの1分け2敗で借金生活に転落した。試合前には1日に出場選手登録され、同日のDeNA戦でスタメン出場していた井上広大外野手(23)がわずか1試合の出場で抹消されたが、阪神OBの中田良弘氏は、この采配に疑問符をつけた。

 1日のDeNA先発は右腕のジャクソンだったが、藤川監督は2軍でリーグトップの3本塁打を放っていた右打ちの井上を昇格させ、左打ちの前川に代えて「6番・左翼」で即スタメン起用した。

 中田氏は「この使い方は良かったよね。やっぱり調子がいい選手は、調子がいい時に上(1軍)に上げて、すぐ使ってあげるのが一番いいやり方だと思うから。逆に言うと、相手が右投手で、前川の調子も決して悪くなかっただけに、よく踏み切れたなと感心したぐらいだよ」と振り返る。

 ただ、井上は二回1死二塁で見逃し三振。決して難しいコースではなかった浮いたナックルカーブにバットを出すことができなかった。四回1死ではボール球に手を出して空振り三振となったが振り逃げで出塁し、その後に二盗を決めた。六回2死では右飛。ジャクソンの151キロ直球に振り負けた。6点を追った九回先頭で代打を告げられ、3打数無安打と勝利に貢献することはできなかった。

 翌2日。スタメンに井上の名前はなかった。同点の八回1死三塁、延長十回1死二塁、同2死二塁、十二回2死三塁。代打を起用する場面は何度もあったが、藤川監督が井上の名前を告げることは最後までなかった。

 中田氏は「まだシーズン序盤。これまで守備要員、代走要員としての起用が多かった島田に新境地を開拓させるために、打席に立たせたという親心もあっただろう。梅野にしてもそう。五回に右前打を打っていたし、経験値もあるから、そこに期待したのかもしれない。井上を使わなかったことは仕方がないと思うけれど、1日だけ使ってダメで抹消というのは、どうも納得できないね」と熱く語った。

 その理由について中田氏は「じゃあ一体、何を期待して上に上げてきたんだという話。1試合の出場でファームに落とされた井上のモチベーションが心配だし、今後、彼は何をどう頑張っていけばいいのか進むべき道を見失ってしまう可能性がある。こんなに早く落とされるとも思ってなかっただろうから、次にまた呼ばれたとしても、結果を出さないとまたすぐに落とされるという思いから、長打が魅力の井上の打撃が小さくまとまってしまう危険性も考えられるんだよ」と持論を述べた。

 阪神は今年、救援陣に3連投をさせない方針を固めている。ドラフト1位の伊原、育成ドラフト1位の工藤が1、2日に連投したことで、この日はベンチ入りメンバーにこそ名前はあったが、ブルペンを補強するために伊藤将を昇格させる手を打った。先発のデュプランティエの昇格に伴い、2選手を抹消する必要があったのも事実。

 「3連投させないという決定事項があるから、やりくりが難しくなるのは仕方がない。一方で、2軍降格となった井上に思いを寄せることも大事だと思う」と中田氏。開幕2連勝から一転、引き分けを挟んで3連敗。2年ぶりのリーグ制覇を勝ち取るためには、選手も、首脳陣も、今以上の強さを身につける必要がある。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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