【野球】広島・常広 強心臓ぶりの背景とは 侍デビュー1回三者凡退「責任が全部自分にくるので」
広島・常広羽也斗投手(23)が、5日に行われた野球日本代表「侍ジャパン」の強化試合オランダ戦(京セラ)で侍デビューを飾った。九回に登板し、三者凡退で無失点リレーを締めくくった右腕。「緊張はしなかった」と振り返った強心臓の裏側に迫った。
上々の侍デビューだった。5点リードの九回。常広は駆け足でマウンドに上がり、1番から始まるオランダ上位打線と対峙(たいじ)した。最速151キロの直球を軸に13球で三者凡退。「緊張はしなかった。とてもいい経験になりました」と危なげなく試合を締めくくった。
青学大4年の夏には日米大学野球に出場。大学日本代表の優勝に貢献した。ドラフト1位で広島に入団すると、ルーキーイヤーの昨季はプロ初登板の9月15日・DeNA戦(マツダ)で5回1失点の好投で初勝利。そして、今回の強化試合で初めて侍のトップチームに招集された。
代表に合流する前、カープで最後の練習を行った3日。練習後に緊張しているか聞くと「それはないですね」と即答した。続けてこう言った。
「今回は強化試合なので、もし打たれても評価を落とすのは自分だけじゃないですか。責任が全部自分にくるので緊張はないです。自分が打たれて、誰かが困るような試合は緊張しますけどね」
国やチームの運命を左右する登板ではなく、あくまで自身が評価されるだけのマウンド。背負うものが少ない分、緊張はなかった。裏を返せば、シーズン中など勝敗が重要視される登板では責任を感じ、緊張しながら腕を振る。プロ2年目とは思えない大人びた考え方に驚かされた。
また、自身の立場を踏まえ、代表での登板を通過点として捉えていた。「開幕に向けての調整として投げたい。大きく何かを変えることはない」。あくまでも本番はレギュラーシーズン。先を見据え、地に足を着けて調整を進めている。
現状、カープの先発ローテーションは開幕投手の森下、大瀬良、床田が当確。残りの3枠を常広、玉村、ドミンゲス、森、ドラフト2位の佐藤柳らで争っている。開幕まで残り約3週間。「しっかり打者と勝負した上で結果を出せれば次につながる。投げられるオープン戦も少ないと思うので、1軍を目指して練習したい」。将来のエース候補が貴重な経験を積み、2年目のシーズンに向かう。(デイリースポーツ・高橋涼太朗)
◇常広 羽也斗(つねひろ・はやと)2001年9月18日生まれ。23歳。大分県出身。180センチ、79キロ。右投げ右打ち。投手。大分舞鶴高、青学大を経て、23年度ドラフト1位で広島入団。最速155キロの直球に加え、プロ入り後にはカットボールをマスター。24年9月15日のDeNA戦(マツダ)で1軍初登板初先発、5回1失点の好投でプロ初勝利をマークした。