【野球】開幕投手通達の今昔物語 DeNA・三浦監督は東に直電 過去には電光掲示板、直筆手紙、仕事始め会場、ファンフェスタで発表のサプライズも
DeNAは11日、今季の開幕投手を東克樹投手が務めることを発表した。2年連続通算3度目の大役となる左腕は「1月11日の(午前)11時11分に監督から電話があり、『開幕投手を任せるぞ』と電話がありました」と語り、三浦大輔監督は「厳密に言えば、着信を押したのは11時11分11秒でした」と、東の背番号「11」にちなんだことを明かした。
三浦監督は現役時代、3年連続を含む通算7度の開幕投手を務めたが全敗。通算172勝を挙げながら、一度も開幕戦に勝てないまま現役引退となった。
開幕投手の通達には、過去にもいろんな手法が用いられてきた。
日本ハムの栗山英樹監督は2012年、斎藤佑樹投手を監督室に招き、「2012年、開幕投手、斎藤佑樹。ともに戦おう。栗山英樹」としたためた直筆の手紙を渡した。また、21年2月15日15時15分には、キャンプ地・名護のマウンドに背番号「15」の上沢直之投手を呼び寄せ、「ここにいる上沢投手に全てを託して1年間戦って参ります」と開幕投手を発表した。
新庄剛志監督も昨年11月30日にエスコンフィールドで行われた「Fフェス」のフィナーレで、「いきなりですが、来年の大事な戦いの開幕投手を発表します。金村くんでいきたいと思います」と、3月28日の西武戦(ベルーナドーム)の先発に金村尚真投手を指名した。
西武の辻発彦監督も19年、宮崎・南郷キャンプで一本締めを終えた瞬間、電光掲示板に「開幕投手 多和田真三郎」というサプライズを仕掛けて、本人と周囲を驚かせた。
DeNAのラミレス監督は、2016年1月4日の仕事始めの会場で、山口俊投手を12球団最速で開幕投手に指名。速さと同時に、前年3勝6敗という成績だった右腕の指名に驚きが広がった。
中日・落合博満監督も就任初年度の04年、それまでの3年間、1軍登板から遠ざかっていた川崎憲次郎投手に1月3日に直接電話し、開幕投手を通達。以後も、これは超極秘事項として進められ、落合監督、川崎、森繁和投手コーチ以外には知らされなかった。開幕当日、川崎がダブルのスーツを着てきたのを見たチームメートが異変を感じたというが、「9番・ピッチャー・川崎」の場内アナウンスが流れるまで、大多数の選手がこのサプライズを知ることはなかったという。
たかが143分の1と捉えるか、されど143分の1と受け止めるか。仮に敗れたとしても、翌戦に勝てば1勝1敗となるだけに、1試合としての重みは正直なところ小さいのかもしれない。ただ、連覇を目指すチーム、覇権奪回を狙うチーム、どちらにとっても晴れの開幕を制することは、チームに有形無形の流れや空気を呼び込む。それだけに、開幕投手が背負うプレッシャーの重みは計り知れない。わずか12人にしか許されない大役。魂がほとばしるピッチングが待ち遠しい。(デイリースポーツ・鈴木健一)




