【野球】ソフトバンク投手陣が受ける“甲斐ショック” 巨人FA移籍の甲斐拓也が鷹に残した遺産とは
ソフトバンクの投手陣に“甲斐ショック”が広がっている。オフに正捕手を担ってきた甲斐拓也捕手(32)がFAで巨人に移籍。絶対的な扇の要を失い、投手陣にも影響が及びそうだ。
2021年から4年連続で45試合以上に登板している津森宥紀投手(27)は「甲斐さんのリードはそこに投げれば大丈夫だろうという考えでいた」と明かす。甲斐は2017年から主戦でマスクを被り、その頭脳にはパ・リーグ各打者のクセやウイークポイントのデータが膨大に蓄積されているであろう。投手陣は甲斐のリードに全幅の信頼を置いて腕を振ってきた。
「これからは甲斐さんと違うコミュニケーションが必要になる」と津森。次の正捕手には海野を筆頭に谷川原、嶺井らと複数候補がおり、当分は併用も予想される。投手陣がこれまで甲斐に配球を一任していた中、これからは投手自身の考えと起用される捕手の配球の意図をすりあわせる作業が重要になってくる。
絶対的な女房役は去ったものの、“甲斐イズム”は投手陣にしっかり浸透していた。23年に45試合に登板した田浦文丸投手(25)は「甲斐さんは真っすぐを大事にする方。そのための準備をしましたし、そういう準備ができていたというのはピッチャーとして良かった」と振り返り、津森も「真っすぐが自分は1番。よくけんか投法でコースとか狙わずに投げ込んでこいと言われていた。今でもその考えは大切にしています」と話す。
ソフトバンクの各投手が直球へのこだわりを口にするのは甲斐のリードがあったからこそ。鷹投手陣が強気で押すスタイルを身につけたことは甲斐が残した“遺産”と言える。
次の正捕手候補筆頭である海野隆司捕手(27)は「怖いながらも堂々とすることが大事。拓さん(甲斐)の姿を見てそういう風に感じていた」とその存在感の大きさに憧れてきた。「(甲斐が抜けてチームに)変化を感じさせないようにしないといけない」。配球に始まり、野手のポジショニングの指示、ブロッキングなど扇の要の仕事ぶりが勝敗の鍵を大きく握る。チームで“甲斐ショック”を振り払った先に、リーグ連覇が見えてくる。(デイリースポーツ・北村孝紀)





